筆者は昨年、福島第一原発事故後初めて一般販売が開始された、福島県浪江町産の新米の販売促進を目指すプロジェクトに参加しました。
プロジェクトに参加して気が付いたことは、お米にはいろいろな特徴があるということでした。浪江町で現在つくられているのは「コシヒカリ」と「天のつぶ」。コシヒカリは日本で最もメジャーな品種の一つと言ってもいいでしょう。一方、天のつぶは福島県のオリジナル品種で、病気に強く安定した生産ができるのが特徴です。
これまで、日本で一番おいしいお米と言えば新潟県魚沼地方のコシヒカリでした。日本穀物検定協会が発表している「コメの食味ランキング」でも最高品質を指す「特A」を28年間獲得し続けていました。それが昨年はじめて「A」に格下げされました。こうした事情もあり、今はお米ブランドの「戦国時代」といってもいいでしょう。
本日の日本経済新聞の記事では、北海道産の「ゆめぴりか」が店頭で品薄状態であることが掲載されています。北海道は2018年度産の作柄が9年ぶりの「不良」となり、品質にこだわるゆめぴりかは、天候不順による影響を大きく受けたことが背景にあります。記事によると、販売競争の激しいお米は、一度小売店で取り扱われなくなると、再び入荷されるのが難しいそうです。
確かに、家の近くのスーパーでは、毎週のように一番見えやすい位置においてあるお米が変わっています。その中でも「秋田県産あきたこまち」「山形県産はえぬき」「千葉県産コシヒカリ」といった知っているブランド名のお米がよく置かれています。記事でも指摘されていますが、覚えやすいお米のほうがよく売れるのではないでしょうか。
こうした「おいしいお米を食べたい」という消費者ニーズは、家電業界にも影響しています。炊飯器の販売台数は減少傾向にありますが、販売金額は年々上昇傾向にあります。実際に家電量販店に行くと、5万円以上の商品を前面に押し出していました。
昔に比べ、あまりお米を食べなくなったと言われる日本人。だからこそ、究極の「ほかほかご飯」をより追い求めるようになったのかもしれません。
参考記事:
9日付 日本経済新聞朝刊(東京11版)6面(総合)「道産ブランド米に試練」