0円音楽 失った価値観

お金を払わずに受けられるサービスが、みなさんの周りにたくさんあるのではないでしょうか。例えば、YouTubeのような動画サイトや、Twitter、InstagramといったSNSが挙げられます。携帯のアプリを筆頭に、「無料」であることが当然になっている世の中に対して、とても残念に思います。

私は音楽を聴くことがとても好きなので、休憩や移動時間によくイヤホンをさしています。また、下宿先にオーディオを設置して、スピーカーから出る音に酔いしれる時もあります。数年前は、CDをレンタルショップで借りて、その音源をパソコンに移し、ポータプルプレイヤーへ転送する作業をしていました。いつでも気軽に聴けるので、魅力を感じていました。また、CD1枚3000円するところを10枚で1500円と、かなり得をした気分になります。しかし、何か物足りなさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

では、その「物足りなさ」が何なのか。その答えを教えてくれたのは、軽音サークルに所属し、メタルが大好きな友人でした。彼と会話をしていると、無料で音楽を聴くことに対してどう思うかという話になりました。彼はそのような人を説教するかのように熱弁しました。

 「YouTubeで音楽を聴いて満足してるのは音楽好きとは言えないね!俺はCD1枚に1万だって払う!お金を払って、現物を手に入れることこそ価値がある!」

 ここで重要なのは「現物」です。傷つけないように管理する、アルバムのジャケットを部屋に飾るなど、形として持っていないと出来ないことです。「好きなアーティストの音源を丁寧に扱い、何年も聴き続ける姿勢」が薄れていることに対し、彼は異論を唱えてるのでしょう。

自分は実物を持っているという充実感もなく、大切に聴く姿勢が不要なので、「物足りなさ」を感じてしまうのです。今の時代だからこそ、CDショップに行って購入し、1枚1枚丁寧に管理することが重要だと考えます。

参考記事:

21日付 日本経済新聞朝刊 14面「著作権、無自覚の侵害が問題」