年始の便り 憂鬱?楽しみ?

今年も残すところ半月になりました。年の瀬も押し迫り、大掃除や正月飾りを意識し始める人も多いのではないでしょうか。年越し準備といえば、年賀状です。2019年用の受け付けが15日に始まりました。

筆者は、大学受験を控えた高校3年生の年から出していません。翌年から再開する予定でしたが、送り先の友人のほとんどが出さないと聞き、やめてしまいました。送られてきた相手に返すだけです。

何十枚もの葉書に異なるメッセージを手書する作業を負担に感じ、毎年の年末は憂鬱でした。やめてから気持ちよく年を越しています。知人の近況は普段からSNSで把握しており、新年の挨拶もSNSで済ませることができるため、年賀状の意義をあまり感じません。

今朝の読売新聞朝刊に掲載されているのは、年賀はがき発行枚数の推移です。1990年から2019年にかけての変化が紙面の半分を超える大きさのグラフで示されています。最大だった2004年用の発行部数は44.6億枚。一方、2019年用の当初発行枚数はピーク時の5割にあたる24億枚です。

人口減やメール・SNSの普及が減少の理由と見られています。「メモリアルアートの大野屋」の18年調査によると、新年のあいさつに重視するものとして、若年層ではメールやLINEなどのメッセージアプリが、高齢層では年賀はがきが高く支持されています。

人生の終わりを迎える準備として年賀状をやめる「終活年賀状」も浸透しています。葬儀関連の総合情報サイト「いい葬儀」によると、65歳以上の人で「終活年賀状をはじめ、今後は年賀状を出さない旨が書かれた年賀状をもらったことのある人」は57%でした。

一方で、年賀状に魅力を感じている人は未だに多く、年末の恒例行事として支持され続けているのもたしかです。送り先の人を思いながらメッセージを書くのが楽しいという声もあります。丁寧に書かれた気持ちのこもった言葉を受け取る喜びはひとしおです。

元旦の朝、何度もポストを確認しに行った幼い頃を思い出します。旧友の近況や変化に驚き、差出人との思い出を懐かしむ時間は幸せに包まれていました。そんな文化が消えていく未来を思うと少し寂しさを感じます。

平成最後の年末年始。年賀状の負担に追われない選択も良し。年賀状の楽しみを享受するのも良し。

 

参考:

17日付 読売新聞朝刊(東京12版)31面「平成最後の年賀状」