考えてみよう。食卓の「肉」が過ごした環境。

昨日は11月29日、「イイニク」の日でした。飲食店で肉料理の割引などが行われ、口にした人もいるのではないでしょうか。

ところで皆さんは、鶏肉や豚肉、牛肉がどのように加工されて食卓まで届くか知っていますか?

以前、学内のあるサークルのニワトリを屠殺し捌き、調理まで行うイベントに参加したことがあります。

まず、逃げ回るニワトリを捕まえて逆さづりにします。頭に血をのぼらせて、必要以上に暴れさせないようにするためです。そして、刃物で頸動脈を切り力尽きるまで待ちます。その後、お湯につけ羽を全てむしった後捌きます。

羽をむしりながらあることに気づきました。ある一羽の羽の部分が骨折していたのです。養鶏場から運ぶ狭いケージの中で暴れるうちに折ってしまったのだろうとのことでした。

その時、悲しい気持ちになったことを覚えています。骨折した時、どれほど痛かっただろう。そして、せめて命を終える瞬間までは不快な思いをせずにいて欲しいと思わずにはいられませんでした。

現在、欧米では「アニマルウェルフェア」の取り組みが進んでいます。これは、家畜が本来持つ習性にあった健康的な飼育環境を目指すものです。「痛み、負傷、病気からの自由」や「不快からの自由」など5つの原則があります。例えば、ニワトリは放し飼いにされ、自由に動くことができる状態で飼育されます。

一方日本は遅れています。全く身動きの取れない状態で体がボロボロになるまで卵を産まされます。産めなるとゲージに詰め込まれてそのまま殺処分されます。生涯、自由に走り回ったことのない家畜も少なくないようです。

「いただきます。」

この言葉は命をいただくことへの感謝の意味を含んでいるそうです。日本の取り組みが遅れていることの一因に、人々の関心の低さも挙げられます。食卓の「肉」を与えてくれた命たちに感謝の念をもって、彼らが過ごした環境に思いをはせてみませんか。

参考記事:

30日付 読売新聞朝刊(大阪13版)25面(くらし)「家畜に健康的な環境を」