周囲の男の子たちを見ていて、ちっちゃい奴だなぁと思うことがしばしばあります。けれども、そんなことでそんなに怒るなよとか、そんなことでへこむんじゃないよ、と言ってやりたくなる傍ら、他愛もないことで一喜一憂する彼らを見ていると、ちょっとクスッとしてしまう瞬間て、意外とありますよね。
「ちょこやまくん」も、そんな器の小さな男のひとり。
2012年、クリエイティブディレクターの横山慶太三によって生み出されたキャラクター「ちょこやまくん」が、本日の朝日新聞、リレーおぴにおんのコーナーで紹介されていました。人としての器がおちょこ並みに小さい、中年サラリーマンのちょこやまくん。自意識過剰で見栄っ張り、極度に心配性でせこい。横山さんが見てきた「小さい男たち」の実話を、「発見研究所」というサイトにて1日1ネタ投稿し、「小さいぜ! ちょこやまくん」として書籍化されました。器の小さな男性に腹を立てることは多いけれど、蚊帳の外で見ている分にはなかなかおもしろかったりします。横山さんの周囲でも、ちょこやまくんを見て女性たちは失笑し、男性たちは「いるいる」といって共感してくれたそうです。
これまでは、豪快で度量が大きく、小さいことは気にしない男性が「男らしい」と評価されてきました。自分を大きく見せようとするのは男の防衛本能なのでしょう、と横山さんは語ります。けれどもこの頃、尼崎のゆるキャラ「ちっちゃいおっさん」や、有川浩氏の「三匹のおっさん」の登場人物など、外見や中身が「ちっちゃい」おじさんたちがちっちゃく活躍しているのを目にします。こういったちっちゃいおじさんたちが何でちっちゃく見えてしまうのかと言えば、自分を大きく見せようとしているのが返って小さく見えるからだと思うのですけれども、横山さんとしては、最近はこうしたちょこやまくん的男性が減っている気がする、と言います。
バブルは遠い昔のこととなり、不況だ、日本経済の終わりだと方々で嘆かれる中育った平成の若者は、物欲が無く堅実で、自分に見合った生活を好みます。余る金より自分の時間、モノ消費よりコト消費なのだそう。自分にできる範囲で、展開の予見できる行動を選択するから慌てたりびくびくすることもありません。自分を不当に大きく見せようとはしないから、なんだか落ち着いていて器が大きいように見えるのです。横山さんはそんな若い男の子たちに「僕らに比べて極めてまとも」と評する一方で、「見ていて面白いかどうかは別ですが」と毒気のある一言で記事を締めくくっています。個人的には、見栄すら張らない最近の若者も十分ちっちゃい男だと思うのですが。
これは自分が女性だからかもしれませんけれど、女性から見た男性って大概小さいです。基本的なつくりから、女性の方が器が大きくなるようにできているのかもしれません。先日、金曜ロードショーでジブリアニメの「もののけ姫」や「紅の豚」が放映されていましたけれども、ジブリアニメの女性たちは本当に強くて器が大きい。引き換え男たちときたら、といった具合です。ジブリに登場する「強い女たち」と「しょうもない男たち」が魅力的なのも、ちょこやまくんが持つ魅力と似通ったところがあるのかもしれませんね。
さて、話が脱線してしまいましたが、あらたにすの記事を読んでいる男性方っていったいどれくらいの年齢層の方が多いのでしょう。俺も、我ながらちっちゃいことをしたなというエピソードをお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか。女性はそんなあなたのことを、イラつき半分、面白半分で見ていると思います。
がんばれ、ちっちゃい男たち。
参考記事:
7日付 朝日新聞朝刊(大阪10版) 13面(オピニオン) 「リレーおぴにおん ちっちゃな世界12」