「今からホンデ(※1)のクラブに行ってくるの」
先週末、寄宿舎の玄関でドラキュラの格好をしたロシア人留学生が笑顔で声を掛けてくれました。どうやらクラブで開催されるハロウィーンパーティを楽しむようです。私が留学している韓国でも、若者を中心に注目を集めるイベントになっています。雑貨屋にはハロウィーングッズが売られています。街に出れば仮装をした若者とすれ違い、化粧品店には専用のメイク道具も。
一方、日本に目を向けるとハロウィーンにまつわる不穏な報道が目立っています。特に東京・渋谷での27日夜から28日未明にかけての騒ぎは混乱を極めたようです。機動隊が警備にあたり、痴漢や暴行で5人が逮捕されたとのこと。「騒然」「軽トラ横転」「ごみが散乱」。さながら暴動です。
そもそもハロウィーンとは、悪霊を払い秋の収穫を祝う宗教色の強い行事でした。仮装をする風習が日本に浸透してきたのはここ最近のこと。Twitterでは「仮装パーティというより下層パーティだな…」「ただのバカ騒ぎしたい集まり」「これのどこがハッピーハロウィーンなのか」などと冷めた目で見る人もいます。日本におけるハロウィーンはその程度に成り下がってしまったのでしょうか。
韓国で他国の留学生に渋谷のハロウィーン騒動について話してみました。すると相手は
「日本ではハロウィーンの文化が無いはずなのに、なぜこんなに騒ぐんだ?」
と、不思議がっていました。返す言葉もありません。実は私自身も3年前、ハロウィーンが終わったばかりの早朝にたまたま渋谷を訪れました。路上に散乱したゴミ、嘔吐する若者、泥酔した未成年、群衆の誘導に追われる警察官たち。混沌とした光景に唖然としました。ハロウィーンとは一体…。
▲ハロウィーンで騒然とする渋谷を警戒する警察官
(2015年11月1日 東京都渋谷区で筆者撮影)
渋谷区は今年、終電までの帰宅や瓶に入った酒類の販売自粛を呼びかけるなど、対策を強めていました。それにもかかわらず混乱を招く結果になってしまいました。これ以上何を規制すれば混乱を避けることができるのか。来年以降、新たな対応策が求められます。
ところで、福岡市では31日のハロウィーンを前にハロウィーンのマナーアップを呼びかけるイベントがありました。仮装をした子どもたちが「ルールを守ってハロウィーンを楽しもう!」と書かれたカボチャ色のゴミ袋と飴を通行人に配ったそうです。このイベントは今年で3回目だとか。そもそもハロウィーンはマナーアップを呼びかけるほどマナーが危惧される代物だったのか。福岡の子どもたちの呼びかけが虚しく思えました。
「祭りなんだから騒いだって良いだろう」
「若いうちしかできないのだから」
それで良いのか、日本のハロウィーン。
※1ホンデ・・・ソウル市内の繁華街
参考記事:
29日付朝日新聞朝刊(東京14版)35面「ハロウィーン荒れる渋谷」
同電子版地域面(福岡面)「ハロウィーン ルール守って」
同日付日本経済新聞朝刊(東京14版)35面「ハロウィーン 渋谷騒然」