「平」和を「成」した時代 最後の終戦の日

73年。21歳の私には想像もつかないほどの長い時間が、終戦から経過しました。戦争があったことなどまるで感じさせない現代ですが、日本中が平和の尊さを再認識する「特別な日」を今年も迎えています。

平成最後の「終戦の日」を迎えた今日、全国戦没者追悼式が日本武道館で行われました。天皇陛下は「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」と述べられ、「深い反省」に言及されました。ゆっくりとお言葉を読み上げられる様子から、一言一言への強い思いが感じられます。退席される際、参列者に向かって深々と頭を下げられていたのが印象的でした。

全国戦没者追悼式の様子(筆者撮影)

 

この時期になると突然思い出したかのように増える戦争報道に違和感を覚える人もいるかもしれません。本来なら1年を通して語り継ぐべきです。でも、日常を送る中で平和への感謝を忘れがちな私達にとって、歴史を振り返る特別な日は必要です。

毎年8月15日、皇居や靖国神社周辺には大勢の人が集まります。その目的はそれぞれですが、時に激しく意見を交わし、ぶつかり合う様子も見受けられます。夥しい数の警察とバリケードが並ぶ異様な光景ですが、各々が自由に意見を言えるのは平和の証です。多様な考えを声高らかに主張できる社会であり続けてほしいと思います。

一方で、ヘイトスピーチや歴史認識、領土問題など、平和を脅かす多くの課題が残っています。平穏な日々に甘んじることなく、未来の平和を作っていくために何ができるか、どんな選択をすべきか、一人一人が考える日にしたいものです。

 

参考記事

15日付 朝日新聞夕刊(東京4版)1面「平和 平成の先も」

同日付 日本経済新聞夕刊(東京4版)1面「不戦の誓い刻んだ30年」

同日付 読売新聞夕刊1面(東京4版)「平和への思い 次代へ」