6月1日、2020年春卒業予定の大学生・大学院生を対象としたインターンシップが解禁され、19年卒の就活がまだ終わらないなか、その次の学生を対象にした企業の採用活動が動き出しました。
本日付の日経新聞朝刊では、就職情報サイトの編集長や、大学のキャリアセンターの方の談話が取り上げられています。キャリタス就活編集長の駒形一洋氏は次のように述べています。
「興味のある企業でインターンの募集がないときは、直接連絡を取ってみるのもいいだろう。いったんは募集を締め切っていてもキャンセルが出たり、次回の開催予定を教えてくれたりすることもある」
インターンや説明会などの情報を提供する「情報インフラ」の編集長が、「自力でやるのも良い」と話していることに、正直驚きました。中小企業の場合、通常の採用活動に加え大人数のインターン生を受け入れることは負担でしかない場合もあるでしょう。しかしやる気のある人は受け入れたい。結果として、情報サイトには上げずに自社サイトのみで募集する、という形をとる企業も少なくありません。
筆者はといえば、就活サイトには見当たらず、人事部に直接問い合わせた企業が1社ありました。しかし特定の大学と覚書を交わしている関係で、他大学の学生は受け入れられないと断られてしまいました。企業側からしてみれば、毎年継続的に人員を確保できるという意味で特定の相手先との非公開インターンを行うメリットはあります。しかし、せっかく興味を持った他大学の学生をはじいてしまう、というのはいかがなものでしょう。
その企業からは、その後連絡がありました。自社サイトでの公募制に切り替えるとのことだそうでしたが、大学名で判断されたという事実は、今でもあまり嬉しくは思えません。
「学歴フィルター」と呼ばれるものは根深く残っています。同じ企業の同じ時間の説明会を申し込もうとした別々の大学の就活生2人に対し、サイト側が片方に空席と伝え、もう片方には満席と表示したという話は有名です。最近ではインターネットなどを通して受験する適性検査やテストも登場しました。とはいえ、不正ができてしまうことで公正さを危ぶむ声が上がり、さらに学歴フィルターで落とすのを隠すために実施しているとされる噂も出回っています。
就活戦線に公正な選考を求めるのは無理な注文かも知れません。しかし、実力とは関係のないようなことで理不尽な扱いを受ける就活生を、周囲でも多く見てきました。企業の担当者や就活サイト運営者の方々には、ぜひ現状の就活「市場」の歪みを改めてほしいと思います。
もちろん、学生も自分から動かなければ。
参考記事:
18日付 日本経済新聞朝刊(東京14版)25面(大学)「20年卒の就職活動―――インターンの心得」「参加や申込み 学生既に着手 6月末で7割」