パパの育児参加は社会を変える?

積極的に育児にかかわる「イクメン」に続き、近年注目されているのが「イクボス」というキーワード。育児に理解を示す上司のことを意味します。男女を問わず、子育てや介護などをしながらでも安心して働ける職場の雰囲気作りがいま、求められています。

日本経済新聞の「きょうのことば」では、女性活躍推進法が紹介されています。女性の活躍に向けた行動計画の策定を義務づける法律で、301人以上を雇用する事業主を対象に201641日に施行されました。政府は、加えて従業員101人以上300人以下の企業にも、女性登用の数値目標を盛り込んだ行動計画を義務付けることを検討しています。人手不足が深刻な中小企業で、女性が働きやすい環境を整えるよう促すのが狙いです。

政治においても「候補者男女均等法」が成立しました。国と地方の議員選挙で男女平等の候補者選びを促すことで、女性議員を増やす取り組みを政党に求めるものです。いずれも、出産や子育て、介護にかかる女性の負担を軽減し、生活と両立できる環境づくりを実現できるかどうかが問われています。

筆者の就職活動でも、子育てをしながら働けるのかという点が気になり、育児制度などを積極的に調べました。テレワークや短期間勤務など多様な働き方が広がり、働きやすい環境が整備されつつあることを肌で感じました。一方で、出産や育児を考えると、今のままでは男性と同じ人生設計は難しいとも痛感しました。

男女の労働格差を小さくするための一つの解決策と考えられる制度があります。

スウェーデンには、両親に認められている育休休暇のうち、3か月は父親しか取れない「割当制」があります。以前は男性が一家の大黒柱という考えが根強く育休取得率が数%にとどまっていましたが、新制度により8割ほどが利用するようになりました。制度を活用した父親はその後も積極的に育児に関わる傾向が強い、という調査結果もあります。

男女が共に育休をとるため、子育て世代を採用する際に性別を考慮する必要がなくなるという恩恵もあるようです。より能力重視の採用が可能になり、男女の賃金格差縮小も進んでいます。

男性の家庭への参加意識が高まれば、性別での役割分担といった固定観念や家事育児の捉え方にも変化をもたらすでしょう。多様な制度が整えば、夫婦間だけでなく企業や地域、社会全体で子供を育てる雰囲気を醸成することにもつながると思います。

 

参考記事 8日付 日本経済新聞 朝刊 13版 1面「女性登用 中小も義務化」

3面 「きょうのことば 女性活躍推進法」

424日付 読売新聞「世界の働き方() パパも育休 8割 スウェーデン」