魂の4分半 感動をありがとう

ありがとうございました。

連覇が決まった瞬間、思いが溢れ、感謝の言葉を発しながら涙ぐむ羽生結弦選手。そんな姿に思わずうるっときました。平昌オリンピックのフィギュアスケート男子で、羽生選手が金メダル、宇野昌磨選手が銀メダルを獲得し、日本に感動を届けました。

昨秋負ったけがの状態が心配された羽生選手。しかし、そんなものは杞憂でした。SPでは流れのある4回転ジャンプと会場を飲み込む洗練された滑りで、圧巻のショパンのプログラムを披露。FPの演技を見た時は、平昌到着時に話していた「どの選手よりも勝ちたい思いが強い」という言葉が蘇りました。強固な思いが、勝利につながったのだと思います。後半の苦しい時間でのジャンプも耐えて自分に打ち勝ち、栄冠をしっかりと掴みとりました。喜びを全身で表現し、挫折を経験したときに支えてくれた方への言葉を繰り返していたのが印象的です。オーサーコーチの下で共に練習に励んできたハビエル・フェルナンデス選手と抱擁し、互いの健闘を讃える姿も素敵でした。

宇野選手は、ミスを最小限に抑え、小さい頃から指導する樋口コーチが振り付けたプログラムで観客を魅了しました。アイスリンクで浅田真央選手に声をかけられたことをきっかけにスケートを始め、憧れは羽生選手と語ります。小柄な体を大きく使った表現力が強みで、音に合わせた伸びやかなスケーティングを見せます。近年は成功率の高い4回転も武器に加え、世界ランキング2位までのぼりつめました。試合時は普段から全ての選手の演技を見ており、冒頭のジャンプに失敗した時は「笑ってしまった」と答えるなど、強心臓ぶりも話題となりました。五輪に「特別感はない。僕にとっては通過点に過ぎない」と淡々と話す姿はとてもたくましいです。

対照的な反応を見せた2人ですが、両者の演技から感じたのは、五輪の舞台に至るまでに重ねてきた努力の跡です。羽生選手は「努力してきた」と自信をもって話していましたし、宇野選手もまた圧倒的な練習量を誇ると周りの人々が語ります。そんな積み重ねが、勝負強さにもつながったのでしょう。魂がこもった演技に、胸が熱くなりました。

戦いはこれからも続きます。女子には、安定感のある演技でしっとりと魅せる宮原知子選手と、ジャンプと明るさが持ち味で勢いのある坂本花織選手が登場します。親日家としても知られる絶対的女王メドベージェフ選手の華麗な演技にも期待しています。アイスダンスもあります。息の合った男女の踊りと、それぞれが作り上げる世界観や物語に注目してほしいです。日本からは、パワフルなダンスが特徴的なクリスリード・村元哉中選手が出場します。まだまだ、氷上の熱い戦いに酔いしれたいと思います。

 

参考記事 各紙「男子フィギュア金銀」関連面