草津白根山噴火 人間にできることは

浅間のいたずら 鬼の押し出し

この文言を知っている方はおそらくほとんどいらっしゃらないのではないかと思いますが、群馬県内では誰しもが知っている『上毛かるた』、「あ」に当たる一節です。鬼の押し出しとは、浅間山の噴火を鬼の悪行に例えた様子を指しています。温泉地で有名な群馬県、その恩恵の陰には常に活火山の影が見え隠れしています。

23日、草津町草津白根山が噴火。朝日、読売二社とも一面で取り上げる大ニュースになっています。テレビニュースでも各局連日で取り上げており、噴火当時の映像を見た方も多いのではないでしょうか。

草津町と言えば温泉街が有名です。映画『テルマエ・ロマエ』の撮影地としても知られていますね。そういえば聞こえはいいですが、温泉が湧きやすいというのは火山地帯特有の現象です。特に群馬県は国内有数の活火山地域。冒頭のカルタに出てきた浅間山も、いまだに小規模な噴火を繰り返しています。

今回の白根山噴火での被害は、シーズン中のスキー場ということもあり、11人の死傷者を出してしまいました。亡くなった一名は救助隊の男性陸曹長で、スキー中に怪我をしたスキー客救助のための訓練中にこの災害に見舞われたと記事は報じています。

実は、白根山周辺で噴火がありそうだということは予測できていました。白根山は三つの山からなり、気象庁はそのうちの北側の白根山の噴火可能性が高いとして、24時間体制で監視を行っていたと言います。しかし、実際に噴火したのはノーマークだった本白根山東側の鏡池付近の火口だったそうです。
現在、白根山では警戒レベルを引き上げ、入山制限がかけられています。

さて、こういった災害の際の取り沙汰されるのが救助隊の対応や気象庁などの予測の可否ですが、災害現地報道から対応の問題に話題が移行するにつれ、いくら問題意識を持ったとしても限界があるな、と思ってしまいます。怪我をされた方や亡くなった方のご家族のことを思うと胸が痛みますが、それでも人間は自然には勝てないものだと実感してやみません。

どれだけ人間が対策を練っても災害が起きるときは起きてしまいます。しかし、いろいろな幸運が重なってなるべく小規模に、死者や行方不明者が出ずに済むよう望みます。

参考記事:
24日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「草津白根山噴火1人死亡」
同日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面 「草津白根山噴火1人死亡」