世界保健機関は29日、エボラ出血熱の感染者が1万3703人に達したと発表しました。深刻な状況が続く西アフリカでは、米英が兵員を派遣、日本も無償資金協力や物資供与など総額約4500万ドル(約48億円)を支援するなど、世界各国で支援が広がりつつありますが、現地では依然として医療従事者や物資が不足し、迅速な対応が求められています。
一方で、西アフリカから帰国した医療従事者やエボラ熱疑いの人への対処の仕方も各国で問題になっています。日本では西アフリカ・リベリアに滞在していた40代のジャーナリストが空港で発熱、「いよいよエボラ熱、日本上陸か」と大騒ぎになりました。幸い感染は確認されませんでしたが、エボラ熱の脅威が「対岸の火事」ではないことに気付かされた方も多いのではないでしょうか。今回、日本政府はジャーナリストを医療機関に隔離しましたが、男性の搭乗機の公開はかなり遅れ、様々な報道が先行する形になりました。もし男性が感染していたら、2次感染を防ぐための同乗者の追跡も遅くなったのではないでしょうか。アメリカではエボラ熱に感染した男性が発症前に地下鉄で移動していたことが明らかになり、市民を不安に陥れました。しかし、今回のようにエボラ熱「陰性」だった場合は、プライバシー保護の観点から考えると、まだ感染したかどうか明らかになっていない段階であまり多くの情報を公開するのはやめておいた方がいいような気もします。また、アメリカでは流行国から帰国した医療従事者を強制隔離するとしたいくつかの州の方針に対して賛否両論が巻き起こっています。
エボラ熱はもはや「対岸の火事」ではありません。日本は、そして世界は、どのように対応していけばいいのでしょうか。ご意見お待ちしています。
参考にした記事:
30日付け読売新聞国際面「エボラ 見えぬ終息」