毎年、年末をめどにまとめられる「税制改正大綱」。2018年度版が14日に決定されました。出国時に課せられる国際観光旅客税など個人向けの増税がある一方で、税優遇にメリハリをつけるために賃上げや投資を増やした企業の法人税を減らす仕組みが入れられています。
少子・高齢化が進むなかで、財政・社会保障の構造改革は優先事項です。どうやって財源を確保するのか、誰が負担するのか。今回はそういった課題に踏み込みました。それがわかるのは大綱の柱である所得税改革です。税負担を軽くする控除を見直しました。所得税の税率を変えるのではなく、高所得の会社員向けの給与所得控除を縮小し、誰もが受けられる基礎控除を拡大します。これにより、会社に属さずにフリーランスや個人請負などで働く人は減税。一方で、年収850万円を超える会社員が増税となります。増税対象は会社員と公務員の約4%にあたる約230万人です。
見直しに記載された注意書きに目が留まりました。「ただ、年収850万円超でも、22歳以下の子どもがいる人や、体が不自由で介護が必要な家族がいる人は増税の対象外にする」と書かれています。大綱からこれからの日本の姿勢がわかる気がします。子どものいる世帯は所得に関わらず手厚く保護するということです。思い返せば、社会保障でも同じような方向性がみられます。「3~5歳児の保育無償化は所得制限をしない方向である」と報道されていました。結婚して、子どもを産んだ方がいいですよ。そうささやかれているような気がします。なんだか少し窮屈に感じてしまうのは私だけでしょうか。
経済的に余裕がある人に、より多くの負担を求め、所得の少ない人を支えるのが所得再分配です。たしかに子育てや介護にはお金がかかります。その分の配慮が必要で、忘れてはいけない大切な視点です。ですが、子どもがいれば、いくら高所得でも増税にならない。これでいいのでしょうか。結婚をしない、結婚をしても子どもは作らず二人でお金を貯める。それに望んでいても子どもができない場合もあります。一人ひとりには、それぞれの事情や考え方があるはずです。子どもがいる高所得世帯をどこまで優遇するのか。もう一度しっかり考えるべきでしょう。
参考記事:
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