真の協調性とは OECDの調査結果を受けて

 日本人の協調性の高さが評価されました。

 OECDが2015年に行った国際学習到達度調査のうち、「協問題解決能力」で日本は52の国・地域で第2位という好成績でした。ここでは、コンピューター上の架空の友人らと協力して課題を解決するという設定で、問題解決に最適な発言を選択肢の中から選ばせる問題などが出されました。

 日本は話し合いを通して円滑な合意形成を促す問題で高い正答率を示しました。授業や掃除などで「班単位の活動」をし、集団行動を求められる機会が多いことが要因の一つと考えられています。確かに、小学生の頃からクラス内の係や学校内での委員会など「誰かと一緒に」活動をし、その中で自分の役割を果たすことが多々ありました。

  一方で、あらかじめ決めた内容を守らなかった友人に注意をすべき場面では、友人を褒める割合が高くなりました。効率的に問題を解決する視点に欠け、情緒的になるということです。また、異なる意見を認めることが苦手という結果も出ました。

 「学校は社会の縮図」とよく聞きますが、この結果はそれを如実に表していると思います。実際に、災害時などでは日本人の協調性の高さが評価される一方で、日ごろは成功した人をネット上で批判するような行為も見受けられます。

 集団のなかで摩擦を生まないようにする。そのために違う意見を持つ人を批判したり排除したりするのではなく、人それぞれが異なった意見を持っているのは当然と思い、その上での協調を目指す。本来、目指すべきはこうした方向でしょう。今回の調査結果は学校教育にとどまらず、日本社会全体の課題を照らしだしているように思えます。

 「みんなちがって、みんないい」

 金子みすずさんの詩の一節です。全員がこの認識を持てる日が来ることを強く望みます。

【参考記事】

22日付 読売新聞朝刊(大阪13版)31面(社会)「協力して解決 2位」

同日付  朝日新聞朝刊(大阪14版)33面(社会)「協力する力 日本2位」

同日付  日本経済新聞朝刊(大阪13版)42面(社会)「日本の15歳 世界2位」