文学に疎いのか、流行に乗れていないのか、カズオ・イシグロさんを知りませんでした。昨日、ノーベル文学賞を受賞した長崎県出身で英国籍の作家です。早速、彼が1982年に発表したデビュー作「遠い山なみの光」を読み始めました。ネタバレ注意です。
物語は主人子「悦子」が語るように進みます。舞台はイギリスでありながら、悦子が戦後間もないころまで住んでいた長崎も登場します。作品は悦子の次女、ニキの命名の経緯から始まり、長崎時代の友人、佐知子やうどん屋の藤原さんとの会話が続きます。時折、噛み合わない会話にヒヤヒヤさせられます。
ここで、ストーリーの紹介は終わりにします。
本日の各紙朝刊によると、カズオ・イシグロさんは1954年に長崎県で生まれ、5歳の時に父親が英国の研究所に赴任するのに伴って渡英。移住後は日本に戻ることは少なく、1983年に英国籍を取得したそうです。
幼少のころしか日本にいなかったにも関わらず、「遠い山なみの光」からは、日本の情景がどことなく伝わってきます。また、舞台が英国や長崎であることでカズオ・イシグロさんの半生と重なる部分があるのではないかと想像を掻き立てられます。
彼の作品は日本や戦争について書かれているのかと思いきや、医療技術や生命科学などを扱ったSF的作品「わたしを離さないで」やファンタジーの要素を持ち込んだ「忘れられた巨人」もあるようです。「遠い山なみの光」だけでなく、他の作品も読みたいと思いました。
まだ、「遠い山なみの光」を読んだことのない人は、冒頭の佐知子やうどん屋の藤原さんが何のことだか分からないでしょう。しかし、すでにカズオ・イシグロのファンは、「まだそこまでしか読んでないないの」、「ネタバレも何もないだろう」と呆れているに違いありません。他の作品も読みたいという思いを抑え、まずは「遠い山なみの光」を読み終えたいと思います。
では、読書の秋に戻ります。
参考記事
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