「お待たせしました。こちらは当店特製SUSHIでございます。」
この間京都にあるレストランに行って出された品を見たとき、目が点になりました。だれでも想像するのはシャリの上にネタを載せた「握り寿司」や、すし飯でネタを包み、海苔で巻いた「巻き寿司」ですよね。それなのに目の前にある「SUSHI」は、確かにすし飯で具材を巻いたものではあったけれど、海苔ではなく大根の薄切りで巻いてある上に、中に刺身も入っていません。「あれれ、これって本当に寿司なの?」
不思議に思い、「SUSHI」の生い立ちを店員さんに聞いてみました。このお店は外国人のお客さんが4割ほどを占めているそうです。海苔が苦手な方が結構多いらしく、それを見たシェフが「外国人の方も食べやすいお寿司は何だろう」と知恵を絞った結果、このようなお寿司になったそうです。
「アオリイカのバジルソースあえ」「茄子とモッツァレラチーズのオーブン焼き」。記事に掲載されている手巻き寿司パーティーにも、私たちの常識を覆すネタが多く登場します。参加者曰く、「酢飯がさっぱりしているので西洋の具とも合う」そうですが、いわゆる「普通の」寿司に馴染みのある私たちにとってはかなり奇妙なものに思えます。
でも、アメリカで現地の方が食べやすい味にアレンジしたカリフォルニアロール、最近回転寿司で見かける焼き肉やハンバーグが載った軍艦巻きを考えれば、イタリアンなお寿司というのもあってもおかしくないと思えてきます。
どうやら、この世界には日本人も知らない、面白い「寿司」のかたちがあるようです。もちろん本家本元のお寿司を食べるのもいいですが、時には「変わり種」に挑戦して、食のコラボレーションを楽しんでみては。その寿司が誕生した文化的背景に思いをはせるのも面白いかもしれません。
参考記事
30日付 読売新聞朝刊(京都13版)21面(くらし)「手巻き寿司 進化中」