連日のように各メディアのヘッドラインを「総選挙」の話題が賑わせています。この「あらたにす」でも、すでに様々な視点から鋭い分析記事が投稿されてきました。主な意見としては、「しっかりとした政治理念を基に政策を打ち立てることよりもパフォーマンスが優先された選挙戦になってしまっている」というものです。
衆議院解散前からの各党を見ているとこうした動きが顕著に表れています。小池ブームにあやかろうと自民、民進などから続々と離反者が出ていることや小池氏を代表とする希望の党が具体的な政策を示さず「しがらみのない政治」といった曖昧さを残し続けていることがそれを象徴しているでしょう。
しかしながら、パフォーマンスの政治こそが小池氏の神髄なのではないでしょうか。都知事就任以来の実績は、不可能なゼロリスクを豊洲問題に求め多大な経済的損失を出し、東京オリンピックの計画に中途半端な打撃を与え、都議会議員選挙の圧勝後に都民ファーストの代表辞任し国政に参加といったところでしょうか。
当然ながら上記の文は、あえて悪い印象を与えるような書き方になっているのでフェアなものとは言えませんし、他の都知事候補者が当選していたとしても結果が良くなっていたというものでもありません。
ここで言いたいことは、こうした印象の悪さを招く部分があったとしても、対立構図をはっきりさせ相手を徹底して叩くことで打ち消してきたことです。またこれまで多くの場面で具体的な問いかけに対し、横文字を多用した抽象的な概念で返すことで受け取り手に解釈の自由を与えてきました。
そうしたやり方をもってして自身の政治目標を達成してきている姿は、率直にとても上手いやり方であると思います。しかしこうした戦術的な上手さが長期的な利益を生むとは限らない上に国民に還元されるとも限りません。10月22日の選挙がどのような形で終わるにせよ、国政への影響力は強まるでしょうから、言葉ではない「改革」というものを見せてもらいたいです。
最後に、レーガン大統領のコンサルタントやFOXニュースのCEOを経験したロジャー・アイレス(Roger Ailes)氏の言葉を紹介して終わりたいと思います。
「もし“中東問題の解決策を持っている”と言う男とオーケストラのピットに落ちる男がステージにいるとしたら、あなたは誰が夕方のニュースになると思いますか?」
参考記事:
29日付 朝日新聞(東京14版)1面(総合)「安倍政治5年 問う」
同日付 日本経済新聞(東京14版)1面(総合)「安倍vs小池 号砲」
同日付 読売新聞(14版)1面(総合)「自公と希望 激突」