地方創生、やっぱり大切だった

 今月中旬、一週間ほど福島県浪江町で有給インターンをしました。農作業をしながら、まちづくり、とりわけ移住者を増やすためにどういったアプローチができるかを検討していました。農業は相手が見える仕事なのでやりがいもあり、IoTを活用することで、働き方も工夫することができることを知りました。ただ、わざわざ大学に行って法律について学んだのにもかかわらず、農業を仕事にするっていうことに引っ掛かりを感じました。

 20代から30代の働き盛りで、農林水産業を生業にしようと考えている、まちづくりや地域活性化のために積極的に行動をする。「地方移住者はこうであるべき」といった理想像があるのではないでしょうか。総務省や農林水産省が進める「地域おこし協力隊」や各自治体の移住支援事業の多くは、そういった人のみを追い求めているように感じます。ですが、そのような人は、ほんの一握りです。それよりも、「都会だと生きづらいから」「都会より稼げる職があるから」といった理由の人も受け入れるような仕組みがあれば、もっと移住を希望する人が増えてくるのではないでしょうか。

 高知県大川村では、議員のなり手不足から村議会を廃止し、有権者が予算案などを直接審議する「町村総会」設置が議論されるなど、各自治体が存続の危機に立たされています。それでも、地方を含めて日本の将来設計をしなければいけないことを示す参考値が提示されました。今朝の日本経済新聞は、過疎市町村の約1割が、転出者より転入者のほうが多い「実質社会増」を達成したことを掲載しています。一般社団法人「持続可能な地域社会総合研究所」が国勢調査を分析し、明らかとなりました。さらに、毎年一定の移住者がいることで、30年後の総人口の減少を10%以内に抑えられるという試算も公表しています。

 安倍政権が重大な政策の一つとして掲げていたはずの「地方創生」。それにもかかわらず、あらたにすでは、今年に入って一度も取り上げていません。むしろ盛り上がっているのはオリンピックを控えた東京や、万博誘致に燃える大阪といった都会ではないでしょうか。東京一極集中ではない未来を、考え直す必要があります。

参考記事:

22日 日本経済新聞朝刊(東京14版)34面(社会)「過疎の町 1割で「社会増」」