『IoTが世界を変える』

 いま、IoT(インターネット・オブ・シングス)が急速に広まっています。IoTとは、ありとあらゆるものがインターネットに繋がっていることを指します。これまでパソコンなどの情報通信機器だけに接続されていたインターネットが、家電や自動車などにも繋がるわけです。

 IoTはものに取り付けるセンサーが安くて高性能になり、集まるデータの質や量が向上していること、通信技術やデータ処理の能力が高まり、より大きなサイズのデータが素早く処理できるようになったことを背景に急速に普及しています。そうしたなかオムロンや日本データ取引所が興味深い構想をまとめました。蓄積したデータを売買できる流通市場を2020年に創設するための準備組織を発足させるというのです。自社だけで収集することが難しいデータを売買できる市場が創設されれば、企業側としても投資コストを回収しやすくなります。このため、システム導入のコストが下がって、更なる普及が見込まれるそうです。

 さて、IoTが私たちの生活に普及するとどのようなことが可能になるのでしょうか。日経新聞の記事では、食品スーパーが家庭の冷蔵庫の食材の量から発注量を決める例をあげています。これでむだな在庫を減らすことができるというのです。新たなビジネスチャンスも広がるでしょう。私たちの生活の中でも、家に帰る前に遠隔操作で家のエアコンの電源を入れておけば、着くころには部屋の温度が、センサー等で蓄積したデータに基づいた家主の「快適な温度」に調節されている、ということが実現可能になります。

 これから、私たちの生活がますます便利になっていく。そのような未来を期待するだけで、胸が高鳴ります 。しかし、プライバシーの問題など、IoTにはまだまだ解決すべき問題が残っているのもまた事実です。今後どのように進化していくのでしょうか。今後の動きから目が離せません。

 

参考記事

23日付 日本経済新聞朝刊(京都14版)1面「IoTデータ売買市場」、3面(総合2)「IoTデータ、家電や車からも収集」