この4月から、筆者が通っている早稲田大学の授業が大きく変わりました。といっても、カリキュラムや必修科目が変わったわけではありません。これまで先生から君付けだったのに「吉田さん」と呼ばれるようになったのです。
早稲田大学は4月から性的少数者も安心して学校生活を送れるような環境の整備を本格的に始めました。その一環として、教員は学生に対し、性別を問わず「さん」づけで呼ぶことになったのです。
性的少数者の方々が生活するにあたって大きな問題の一つがトイレです。リクシルと虹色ダイバーシティの調べによると、トランスジェンダーの65%、LGBの16.5%ほどが学校・職場でのトイレの使用に困る・ストレスを感じると回答しています。実際に町に出てJR池袋駅構内をチェックしましたが、特定の配慮がなされているものはありませんでした。
大学では、これまで多目的トイレだったものが、すべて「だれでもトイレ」に変わりました。新しく整備すると大きなコストがかかりますが、これなら他大学や役所でも導入可能ではないでしょうか。ドアには車いすのマークのほかに「All Genders」と記載されています。
他には、ジェンダー・セクシュアリティに関する相談窓口としてGSセンターが誕生しました。必要な情報の提供や、専門機関への橋渡し役にもなるそうです。
今朝の朝日新聞は、LGBTなどの性的少数者に関することが記載された教科書が増えていることを報じています。小中学校での体育の教科書への記述にはいまだ「思春期から異性への関心が芽生える」とありますが、高校の英語、世界史、倫理、政治・経済の教科書に掲載されるなど、教育の現場の環境は大きく変わってきています。当事者でないため、こうした取り組みが正しいのかわかりませんが、考えるきっかけづくりとしては十分ではないでしょうか。
参考記事:
22日付 朝日新聞朝刊(東京13版)32面(教育)「多様な性 掲載広がる」