最近、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、サッカーブラジル代表のネイマール選手、ノーベル賞学者の山中伸弥京大教授ら、世界の著名人が行った難病患者への支援活動の映像がネットで流れ、話題を集めました。「アイス・バケツ・チャレンジ」といって、慈善活動への参加者が頭から氷水をかぶるという、斬新な慈善活動です。
この活動は、7月末に、筋委縮性側索硬化症(ALS)という難病を持つ、アメリカ人患者の呼びかけで始まったといわれています。参加した人は、次にこの活動に参加してほしい人を指名し、指名された人は、100ドル(約1万円)をALSの研究支援に寄付するか、氷水をかぶるかを選択します。この活動により、米ALS協会に届いた寄付額は、7月末から、8月24日までの約1か月で、7020万ドル(約73億円)と前年同期の約30倍にまで達したと報じられています。また、この活動でALSという難病を知り、寄付をした人が130万人にのぼるといわれています。日本のALS教会にも、1週間で、一年分にも匹敵する寄付金が集まったようです。
さて、題でも述べた約80万人という数字、これは、日本における、特定疾患、所謂、「難病」に苦しんでいる患者の数です。日本では約80万人もの患者が先の見えない病気と闘っているのです。難病とは、症例も少なく、原因不明で治療法も見つかっていない疾患のことを指します。また、生活面に長期の支障を及ぼすことも、難病の特徴です。その時代の医療水準や社会情勢により、なにを難病とするかは変わってきますが、現在世界では約7000種類もの難病が存在しているといわれています。
日本でも、特定疾患治療の研究が行われたり、難病患者への助成金が支給されたりと、難病への対策がとられていますが、まだ十分なものとは言い切れません。そんな中始まった、ネット社会をうまく利用した民間での支援活動。今後も支援の輪が広がり、1つでも多くの難病の治療法が解明されることに期待したいですね。
さて、みなさんの周りでもユニークな支援活動がありましたら、ぜひコメント欄でその内容を教えてください。
8月26日付 朝日新聞 大阪10版 19面 「難病支援 氷水かぶりに学びたい」