アスリートの“秘密”に脳科学から迫る・・・!

  初めまして。今回が初投稿となります、奈良優佳里です。これからよろしくお願いします。

 「うまい選手はいったい何が人と違うのだろう・・・」。小学校で水泳、中学校ではソフトボール、高校のときにバレーボール、そして大学でサッカー部のマネジャーと数々の運動と関わりがある私はいつも自分に問いかけ続けていました。

 この疑問に脳科学的な観点から迫ろうとする試みが近年、進められているそうです。この記事では2014年にスペイン一部リーグのバルセロナで活躍するFWネイマール選手の脳活動を脳内の血液の流れの変化から計測した結果を報じています。機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)という最先端の機器が使われました。

 それによると、指示に従って足を動かす場合、他の選手と同じ動きにも関わらず、脳の「運動野」を約10分の1しか使っていなかったそうです。すなわちネイマールは他の選手と比べて一つの動作に必要な神経細胞の数が少なく、その分、脳を効率的に使用していることが分かったのです。

 もちろん運動と脳機能の研究がまだまだ発展途上にあることも事実です。大学でfMRIについての講義を受け、本物の実験装置を見たことがあるのですが、その際に聞いた話は興味深いものでした。被検者は非常に大きな音が鳴り続ける実験室の中で、体を数分間固定されたうえ狭い場所に入れられるそうです。つまり、人によっては大きなストレスになる恐れもあり、必然的に実験も限られたものにならざるを得ないということです。

 このように、実験方法一つを取っても試行錯誤の状態です。「秘密」が解明される道はまだまだ険しいでしょう。しかし、一人のスポーツを愛する人間として期待しないではいられません。スポーツを真剣にやったことがあれば誰しもが知りたい謎が解き明かされる日が来ることを。

参考記事:

2日付 日本経済新聞朝刊(京都13版) 30面(サイエンス)「巧みなアスリート脳」