おつかれさまです 侍のみなさん

 世界一奪還にはあと少し届きませんでした。それでも、日本での野球人気は一段と高まったことでしょう。3年後に迫る東京五輪で復活する野球・ソフトボールが楽しみでなりません。

 日本時間22日、ロサンゼルス・ドジャースタジアムで第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝が行われ、日本代表「侍ジャパン」は1-2でアメリカに敗れました。2大会ぶりの世界一とはなれませんでした。

 雨の中、行われた試合。晴れる日の多いロサンゼルスでは珍しい光景です。グラウンドの天然芝が滑り、守備をする選手たちを悩ませました。今大会スーパープレーで魅了してきたセカンド・菊池選手がボールを後ろに逸らしてしまい、アメリカの先制点に繋がりました。また、決勝点はサード・松田選手が打球をはじいてしまうミスによるものでした。一方で、打線は4安打に抑えられ、投手陣を助けることはできませんでした。アメリカ代表の方が一枚上手だったということでしょう。ですが、予選ラウンドは負けなしで勝ち上がりました。逆転に逆転を重ねる厳しい試合もありましたが、応援しがいのある、いい試合ばかりでした。

 結果だけを見れば残念さもありますが、多いに盛り上がりました。14日キューバ戦の平均世帯視聴率は27.4%と関心の高さを示しました。また、東京ドームでの予選ラウンドは、応援の迫力に圧倒されました。攻撃中の応援歌や拍手の一体感に鳥肌が立つほどです。近年のプロ野球の人気が、日本代表の人気へといい流れをもたらしました。

 東京五輪に向けて課題も見えました。今大会の準決勝以降の試合で導入されたリプレー検証には問題があると思います。リプレー検証とは、審判員の判定に異議があるときに、撮影されているビデオを使い、判定をし直すものです。22日の試合では計5回使われ、そのうち2回は判定が覆りました。WBCの規定では、準決勝以降の試合ではほぼすべてのプレーがリプレー検証の対象となり、回数制限もなかったため何度も使われました。そのため試合が間延びし、リズムが崩れているように見えました。プレーしている選手からすればなおさらのことでしょう。プロ野球でもビデオ判定が導入されていますが、ホームランとホームでのクロスプレーに限定しています。大リーグでは回数が制限されています。第1回大会、大誤審で負けた日本としては、リプレー検証は頼もしい制度だったはずです。しかし選手のリズムが狂うのでは意味がありません。東京五輪までにルールの見直しが必要です。

 今回の盛り上がりのまま、悔しさを東京五輪にぶつけてほしいです。そのためには、選手たちがプレーしやすいような環境・ルール作りが欠かせません。ファンも日本のグラウンドでプレーする侍たちに追い風を吹かせられるような応援を続けていけたらと思います。

 甲子園では選抜高校野球大会が行われています。未来の侍たちが繰り広げる熱い戦いにも目が離せません。

参考記事:
23日付 各紙朝刊(東京13版)「WBC侍ジャパン準決勝敗退」関連面