「赤信号、みんなで渡れば、怖くない」・・・ギャグにしては真相を突いた言い回しです。悪いことや間違っていることでも、一人ではなく集団で行えば、抵抗なくできてしまうことを表しています。ならば、今の世界は「青信号、みんながいても、渡れない」といったところでしょうか。
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日に共同声明を採択して閉幕しました。注目すべきは、「反保護主義」を明確に打ち出せなかったことです。2008年から、声明には保護主義を拒否するとした文言を入れていたにも関わらず、トランプ米大統領の反自由貿易の政策によって、「公正で開かれた貿易」という文言に替わりました。大半の国は「保護主義は良くない」「自由貿易を守るべきだ」と発言こそしていますが、トランプ大統領が押し切った形です。
なぜ、一人の意見がこんなにも力を持つのだろうと感じます。確かにアメリカは図抜けた存在感を持った大国ではあります。ただ、自由貿易を目指す国ぐにが団結し、しっかりと意見を述べれば、正論が通るはずなのにと思えてなりません。日本も「自由で公正な貿易のルールに基づき、貿易のコストを上げるべきではない」とだけ述べ、明確な米国批判はしていません。
アメリカが押し切っているというよりも、そのほかの国がそれを払いのけるほどの反論を示していないことの方が問題なのではないでしょうか。赤信号を一人で渡るトランプ大統領。そんな乱暴な振る舞いによって、大きな損害が出る前に、心ある国々が歯止めをかけなければなりません。