何歳から「大人」として裁かれるのか

公職選挙法が改正され、18歳選挙権が適用されるようになってから今年の6月で2年になります。昨年の参院選では全国の1819歳の若者が選挙に参加しました。では、彼らは完全に「成人」であるかといえば、必ずしもそうではありません。金田法務大臣は9日、「少年法の適用を18歳未満に引き下げるか」ということなどについて法制審議会に諮問しました。この審議会の答申を受け、少年法や刑法の改正案は議論されることになります。今日は、少年法という目線から、日本の「成人」について考えたいと思います。常識だと言われてしまうでしょうが、日本の成年は20歳です。これは民法で決められています。しかし、未成年にかけられている制約がすべて20歳までとは限りません。例に挙げた18歳選挙権もそのひとつです。この議論から、少年法の年齢引き下げも生まれました。

 この議論にはさまざまな視点から参加することができると思います。例えば、権利と責任という考え方。成年と同様の参政権を18歳から保障されているのに、成人と同じ刑法ではなく少年法で裁かれるのは、社会に参加する者として責任を全うしていないと考えることもできます。しかし現状は、窃盗などの比較的軽い非行では家庭裁判所で教育的な働きかけを受け、不処分や少年院送致などになります。非行の背景には、家庭環境の問題や障害などもあり、周囲の環境大きく影響しています。このような非行と呼ばれる程度の場合では、厳罰を下すと立ち直りが非常に厳しくなるとも言われ、少年法の引き下げを危惧する意見もあります。

 一方、被害者の立場に立って考えることもできます。2008年、次男(当時24)を当時19歳の少年に殺された母親は、紙面で語ります。「適用年齢を引き下げれば犯罪の抑止にもなり、被害者も加害者も減らせると思う」。軽トラックで故意にはねて殺した加害少年の動機は「父親に怒られてイライラしていた」という身勝手なものでした。公判中に少年は「死刑にならない」とも言い放ったといいます。この少年は殺人罪などで懲役5年以上10年以下の不定刑期が確定。このような身勝手かつ重大な事件においても、大人に比べて刑が軽すぎるのは明らかです。

 選挙権や酒、たばこに比べて、少年法は加害者と被害者がいるだけに議論は複雑になってしまいます。ただ、現在民法の成年年齢引き下げも議論されていることも踏まえると、成人とは何か、大人とは何かということをもう一度考え直す良い機会なのかもしれません。成人式などの華やかなイメージで、大人になったことをお祝いされるイメージが強いですが、その裏には行動に伴う責任と覚悟が問われているのだと思います。今回の少年法おいても、適用される少年たち本人が、どう考えるのか。当事者の覚悟と意識が肝要なのかもしれません。

参考記事:少年法年齢引き下げ各紙関連紙面