今回の内閣改造では、女性閣僚が現在の2人から6名程度にまで増えると取り沙汰されています。国として女性の活用に積極的な姿勢をとることは、歓迎すべきですが、閣僚に限らずより多くの女性が活躍する上で、切っても切れない問題である幼稚園、保育園の不足、今回はその問題が生み出したであろう事件を考えてみませんか。
新潟、兵庫、福岡、長崎の14の認可保育園で定員を超える300人の園児を預かり、約2億円の保育料を得ており、一部は職員の慰安旅行や懇親会に使われていたということが明らかになりました。本来、認可保育園は市区町村経由で申し込み、家庭環境や居住地を考慮し、場合によっては抽選などで入園者を決定する仕組みのため、定員割れでなければ、このような形式は認められません。定員の超過も禁止されています。
もちろん不正であるため、確信犯であるならば罰則を受けてしかるべきです。ですが、それで終わりでいいんでしょうか。筆者はこの問題の背景に、前述した幼稚園、保育園の不足が大きく影響しているのではないかと考えています。不正といえども、単純計算で一人66万円もの保育料を払って子ども預けなければ、働くことが難しい、核家族化が進み、周囲に保育を頼める人がいないなど、近年話題になるテーマが形を変えて目に見える問題になったのではないかと考えています。年66万円、東京都品川区の保育料と比較して品川区の31区分のうちの上から7番目の区分と同程度の保育料を払っていると考えると、その負担の大きさからも親の必死さが感じられます。また、当該保育園の認可取り消しということはないでしょう。保育所が減れば、同じような不正がさらに増加すると考えられるからです。
私たちが考えなければならないのは、この問題の背景にある「そうでもしないと、やっていけない!」という保護者が抱える負担をどのように是正するかということではないでしょうか。非正規雇用の人口が増え、共働きの世帯が多い中、保育所というものの存在価値は高まってきています。私は東京育ちのため、母から保育所に入るのは大変だったとよく聞かされました。
閣僚に限らず、どんな立場の女性でも活躍できるような土壌を作ること、足元からの共同参画を作れるようにしていくことが必要なのではないでしょうか。この問題に対するみなさんのご意見をお聞かせください。
参考記事:14日付 讀賣新聞(東京14版) 1、33面 「定員外保育で裏金」、「定員外園児 名簿なし」より