トランプ大統領、実業家としての力を発揮できないのか

筆者がドナルド・トランプ氏を知ったのは、ここ最近のことです。昨年11月の大統領選挙に向けてヒラリー・クリントン氏と争っている頃でしょうか。トランプ氏が実業家で「不動産王」と呼ばれていたことぐらいは知っていましたが、具体的な生い立ちなどは知りません。

 その新大統領は23日、環太平洋経済連携協定(TPP)から「永久に離脱する」とした大統領令に署名するとともに、日米間の貿易が「不公平だ」と主張しました。「我々は日本で車を売ろうとしているが、彼らは日本市場で米国車を売れないようにしている。米国では大量に日本車を売っているにもかかわらずだ」と述べています。

 しかし、実情は異なっています。米国が日本からの輸入乗用車に2.5%の関税をかけているのに対し、日本の輸入関税はゼロであり、開放的な市場になっています。それでも米国車の販売が伸びないのは、消費者のニーズに合っていないからだと思われます。狭い路地を乗り回しやすい小型車や、燃費の良い車が人気なのに、米国車はハイウェーを疾走するような大型モデルが主力です。

 トランプ氏に実業家としてのプライドがまだあるのであれば、日本の自動車市場を批判するのではなく、日本の消費者にニーズにあった車を米国メーカーに作らせるべきではないでしょうか。

参考記事
1月25日付 各紙関連記事