テレビと広告

 普段よく目にする広告。街で見かけるものは、自分には該当しないものが多く、気にもかけないことがほとんどです。CMに関しても同様のことが言えます。一方で、ネットでは個人のサイト閲覧履歴や検索履歴を活用したものであるため、クリックしてしまうことがあります。先日も、インターネットを利用して春休みの旅行を計画していたのですが、その後しばらく旅行代理店の広告ばかりが表示されていました。特定のターゲットに絞ることができるため無駄なく宣伝ができ、企業側にはメリットであることが容易に伺えます。ただ、私たちの知らないところで情報が活用されている現状が、とても恐ろしいと感じるときもあります。

 20日、総務省は特定の個人のTVの視聴履歴を番組作りや広告に活かせるように、テレビ局など向けの指針を改正することを決めました。これにより、健康番組をよく見る人には別の健康番組の紹介や健康食品の宣伝が送られてくるようになる。そんなサービスを行えるようになります。今現在でも一部の機器では履歴を集めて家電メーカーに送っていますが、今回の改正により視聴者本人の同意があれば、個人情報と結びつけることが可能になります。ただし、同意がなくてもテレビの視聴は可能にするようです。

 テレビの視聴率が落ちている原因の一つとされている、インターネット動画配信サービスは、放送には当たらないため指針の対象となっていません。そのため履歴を細かく分析し、シナリオや俳優選びに反映されているとされています。このようなことがあり、テレビ業界から放送にも収集を認めるべきという声が出ていました。

 ただ、いったいどれくらいの人が同意するのでしょうか。ただでさえ知らない間に流出してしまっているプライバシー。今回総務省が考えている広告サービスは、個人情報の提供に見合ったものなのでしょうか。今後、テレビを見る際に個人情報の提供に関して同意が前提、あるいは同意の有無にかかわらず情報提供が可能になるといったことにならないよう注意していく必要があります。

参考記事:
20日付 朝日新聞朝刊(東京14版)7面(経済)「TV視聴履歴 広告に活用」