日本経済が活気を取り戻しつつあります。消費増税の影響はあったものの、人々の買い物をしたい気持ち(=需要)は高まっています。企業の方でも、売上高が増税前の水準に戻る時期を7月末と見込んでおり、夏本番を迎え日本経済は盛り上がりを見せます。しかし、不安要素も残っています…。
総務省の家計調査によると、物価変動を除いた消費支出(住居などを除く)が4月を底に2か月連続で伸び、消費の回復が目に見える結果となりました。また財務省の調査によれば、697社の企業のうち、売上高が前年並み(=消費増税前)に戻る時期を「7月末まで」と回答した企業は7割を超えました。これを受け同省は、東北や四国などの雇用情勢の判断を引き上げました。雇用が消費を支え、消費が景気を引っ張るという構図が見て取れます。
しかし、成長が続くと断言はできません。最悪のケースは、所得が伸びず物価だけが上がってしまう「悪いインフレーション」です。アベノミクスの目標は、物価を上げることによって所得も増やすことです。通常、モノの値段が上がれば給料も増えるはずです。簡単にいえばこの循環を利用するのですが、そううまくはいきません。現況はどうなのか。
「物価が上がり所得が目減りしているため、個人消費は駆け込み需要の反動よりも落ち込んでいる可能性がある」(ニッセイ基礎研究所・斎藤太郎経済調査室長、日本経済新聞)
つまり、物価ほど所得は上がっておらず、もう既に人々は買い物を控えてしまっているというのです。先ほどの総務省の調査は何だったのでしょう?
日本経済は復活しているのか、していないのか。皆さんはどうお考えでしょうか。
【参考記事】
30日付 日本経済新聞朝刊(大阪14版)経済面「消費回復 緩やか」