先日、東京都港区にあるTEPIA先端技術館に行ってきました。様々な分野の先端技術が集合しています。社会や経済を支え、豊かにするものばかりです。それらを間近で見るだけでなく、触ったり、動かしたりしてきました。
なかでも気になったのは「Kibiro」というロボットでした。人間の機微(きび=心の微妙な変化)を理解する人工知能が搭載されています。大きさは2リットルのペットボトルより小さいくらい。大きな目で見つめられ、腕を前後に動かす様子は可愛らしかったです。年齢と好きな学校の科目を聞かれたので「21歳だよ。体育が好き」と答えると施設内のおすすめのブースを紹介してくれました。他にもレストランの感想を教えると好みの食事や空間を学習して、次回行くときには気に入りそうな場所を選んでくれるそうです。パートナーのような存在です。
トヨタ自動車もそんなロボット「キロボミニ」を2017年に発売すると発表しました。手のひらサイズで価格は3万9800円。より身近な存在になりそうです。このコラムのタイトル「あなたのそばに。ココロのそばに。」はキロボミニのキャッチコピーです。
面白いのはトヨタ自動車がロボットを作ったということです。ロボットの先駆け的存在のASIMOも2000年にホンダが発表したものです。これまで自動車づくりに専念していた会社が、なぜそんなことをするのかと思いました。その答えは公式サイトにあります。
「クルマというかけがえのないパートナーを作ってきたトヨタ。人のそばに寄り添い、人の心を動かすこと。それを今、クルマとは違う形で作ろうとしています」
確かに現代社会で自動車は欠かすことのできないものになっています。自分の足として、趣味として、憧れとして様々な場面に車はあります。その精神をクルマではない何かにも託そうとしていることにトヨタの向上心を感じました。
ただ、ロボットの技術が発達していくうえで怖いのは人間がロボットしか相手にしなくなるのではないかということです。会話を重ねたり、表情から感情を読み取ったりして多くのことを学習したロボットは、だれよりも自分のことを理解できるパートナーになります。電車でスマホとばかり向き合う現代人。近い未来、ロボットとしか会話しなくなるかもしれません。
本当に「あなたのそばに。ココロのそばに。」いてほしいのは誰でしょうか。
参考記事
4日付 朝日新聞 13版 9面 「会話ロボ 手のひら大」
同日付 日本経済新聞 13版 11面 「トヨタは会話ロボ」
同日付 読売新聞 13版 8面 「ロボット 業種超え参入」