2001年9月11日、世界貿易センタービル(WTC)に2機の飛行機が突っ込みました。当時6歳だった筆者にとってそれが重大な事件であることは理解できませんでした。もちろん、今となれば信じられない事態であることは分かります。大学の講義では救出されずビルに取り残された人々がなす術なく、相当な高さから飛び降りる映像を見ました。目を覆いたくなるような衝撃的なものです。
そんな無差別なテロ行為は確実に日本にも近づいています。昨年初めのISによる人質殺害事件やバングラデシュで20人が死亡した事件などで日本人の犠牲者が出ています。国内でのテロは起きていないものの、警戒をする必要があるでしょう。関係諸国との情報共有やテロリストの入国を防ぐ水際対策など政府による対策は容易に想像できます。
ただ正直なところ一個人として、どう警戒すればいいのか分かりません。そんな中、米国同時多発テロによりWTCで銀行員をしていた父親を3歳の時に亡くした杉山太一さん(18)の言葉が朝日新聞に掲載されていました。太一さんは現在、京都大学で紛争解決の手段として国際法を学んでいます。
だれかが憎しみの連鎖を断ち切らないと、報復が続くだけ。日常を生き続けることが、テロへの最大の抵抗だ。
コーランを原語で読めるように、大学でアラビア語やイスラム思想史の授業を取っている
報復を終わりにする強い意志と相手を知り、学ぼうとすることが、私たちにできるテロへの対策なのかもしれません。
また、9.11をはじめテロの恐ろしさを風化させないためにマスメディアの報道にしっかりと耳を傾けることが重要なのでしょう。事件から月日が経っても続いている報道のおかげでテロの恐怖を覚えた筆者のように。テロははるか遠くで起きている他人事ではないのですから。
他になにが出来るのか、これからも考えていきたいと思います。
参考記事
12日付 読売新聞 『2本の光、夜空に照射…米同時テロの犠牲者追悼』
11日付 朝日新聞 13版 2面 『見えない「敵」 拡散する「戦場』』
13版 39面 『父奪ったテロ なくすために』
11日付 日本経済新聞 13版 34面 『米同時テロ 傷跡今も』