マイナー競技にも光を

6日に開幕した、リオデジャネイロオリンピック。新聞を開くと一際目を惹くのは、大きな写真の数々です。一カットの中に、どのような想いとストーリーがこめられているのだろう、そんなことを考えながら一枚、一枚眺めています。

 連日、メディアで取り上げられている日本選手の快進撃。とりわけ印象的だったのは、カヌーでアジア選手初のメダルを獲得した羽根田選手の感極まった表情と記者会見での言葉です。日本の練習環境は十分に整っておらず、単身スロバキアに渡り、修行してきました。マイナー競技ゆえ、資金面でも多くの苦労があったようです。リオで乗ったカヌーも、握ったパドルも自前で購入したもの。それでも10年間一つの目標に向かって、猛練習を重ねてきました。「このメダルが日本のカヌーを変えるきっかけになればいい」。なんとかして、競技の裾野を広げたい、そんな強い想いが伝わってきました。

 筆者は今、大学の部活を取材する新聞サークルに所属しています。有名な競技だけではなく、幅広く大学スポーツの取材に行きます。ボートやラクロスなど、今まで観戦したことのなかった競技の試合をみる機会も増えました。どの戦いにもドラマがあり、選手たちの熱い想いに気付かされます。また、インタビューを通して感じるのは、選手の競技に対する愛情です。自分たちの頑張りを取り上げてもらうことで、もっと多くの方に競技の素晴らしさを知ってもらいたい。そのように語ってくださる方もいます。

 四年に一度の最高の舞台である五輪は、競技をアピールする絶好の機会でもあります。普段日の目を浴びることの少ないマイナー競技にとってはなおさらのことです。結果を残すことで知名度を高め、練習環境を変えるチャンスです。サポートが万全でない中で、苦労しながら五輪の切符をつかんだ選手もいます。今回の五輪では、ネットで生中継を見ることも可能になりました。幕を開けたばかりですが、メジャーではないスポーツにも目を向け、地球の裏側から熱い声援を送ることができれば良いなと思います。そして、メダルにばかりとらわれず、様々な競技と一人ひとりのアスリートに焦点を当てた報道に、期待しています。 

参考記事 各紙リオ五輪関連面