投票率53.93%の現実—政治とどう向き合う?世界の取り組みから考える

「日本はとても良い国だと思うけど、政治に無関心な人がなぜあんなにいるのか不思議に思っているよ」

オーストラリア滞在中に知り合った現地の友人は、日本についてこのように話していました。他国からもそのように思われていること、またオーストラリアでは選挙前は自然に政治の話で溢れるということを知り、日本との違いの大きさに愕然としました。

昨年行われた第50回衆議院総選挙では全体の投票率は53.93%。2021年の前回選挙と比較すると、投票率は2.08ポイント低下しています。「低投票率」という課題を前に今後どのような取り組みが必要なのでしょうか。

投票率向上のひとつの鍵になるのが「若者を中心とした若年層の政治に対する関心」だと筆者は考えます。

「投票しようと思ってもどこの党が良いのかがわからない。だから選挙に行きづらい」。投票に行ったことがないという友人は、その理由についてこのように話していました。

筆者もこの説明には非常に納得しました。実際、筆者が学んだ公民など義務教育での授業では政治の制度やこれまでの政治の歴史について学ぶ機会はあったものの、実際の選挙において有権者としてどのような点を見て判断するべきなのか、といった具体的な話を聞いた記憶はありません。

諸外国の取り組みをみましょう。若者の投票率が80%以上を超えるスウェーデンやデンマークでは「模擬投票」が導入されています。実際の選挙2週間前から学校全体で行われ、生徒たちが各政党の実際の政策を研究したうえで、それぞれの党の役割を演じた討論会を開催。最後に全校生徒が投票し、その結果を実際の選挙結果と比べて分析するというものです。

また筆者の滞在したオーストラリアでは、投票が義務化されています。棄権には罰金が伴なうため、皆行かなればならないという意識だといいます。さらに投票日には「Democracy Sausage」という焼きたてのソーセージを提供するイベントが開催されます。SNSでは「#democracysausage」が投票日にトレンド入りするなど、投票に行くということと楽しさを結び付けるような工夫がされています。

自民党では被選挙権年齢の引き下げを検討するプロジェクトチームが設置され、今年5月をめどに提言をまとめる動きがあります。

「選挙年齢を下げる=若い世代の声が反映される」と単純に考えるのではなく、諸外国のように選挙に対する意識の変革をもたらす体系的な取り組みもあわせて考えてほしいものです。

参考記事:

5日付 日本経済新聞(朝刊)4面「被選挙権年齢の引き下げ検討 自民、チームを設置」

参考資料:
・選挙ドットコム「第50回衆議院選挙」https://go2senkyo.com/shugiin/22503
最終閲覧日:2025年3月26日

・みんSay「若者の投票率を上げるために~世界の取り組み~」https://miyakojima.jp/politics/youth-voter-turnout-global-efforts/
最終閲覧日:2025年3月26日

・NHK「自民 被選挙権年齢の引き下げ検討 “若い世代の声を政治に”」2025年3月25日https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250325/k10014759911000.html
最終閲覧日:2025年3月26日