筆者は大学で教職課程を履修しています。授業をきっかけに出会った『知的障害と発達障害の子どもたち』(本田秀夫、SB新書、2024年)を読み、知的障害・発達障害について学びました。
知的障害とは幼少期から知的機能や適応機能の遅れがみられる状態のことをいいます。知的機能とは言葉や記憶などを使って、さまざまなことを認知したり、考えたり、推論したり、学習したりする能力です。また、適応機能では、自分が属するコミュニティにおいて、さまざまな場面で自立した行動・責任を果たす行動をとるかどうかが問われます。「知的障害」という言葉は行政用語であり、医学では「知的発達症」と呼ばれ診断名にもなります。
一方の発達障害は「自閉スペクトラム症(ASD)」、「注意欠如多動症(ADHD)」、「学習障害(LD)」などに分けられます。「発達障害」という診断名はなく、これらのグループの総称です。ASDは「臨機応変での対人関係が苦手」や「こだわりが強い」などの特性があります。ADHDは「不注意」や「多動症・衝動性」、LDは読み書きや計算が苦手という特性があります。
知的障害や発達障害の特性は子どもの成長によって良くなっていく部分と変わらない部分があります。基本的に自然経過のなかで悪化することはありません。しかし、環境との相性に問題があり情緒が乱れる二次障害が起きることがあります。イライラする、落ち込んでしまうといった、知的障害や発達障害の本来の特性ではない症状のことです。この二次障害を予防することが最も重要だといいます。
知的障害では発達がゆっくりなため「その子どもは、どのくらいのペースなのか」を理解してそれに即したプランを立てることが大切です。発達障害は得意と苦手がはっきりしているのが特徴で、多様で複雑な面はありますが、「何ができて、何ができないのか」を理解することが重要です。
中学校の教員免許を取得するためには7日間の介護等体験という実習をしなければなりません。特別支援学校で2日間、社会福祉施設で5日間というのが基本的な日程です。障害者に関する人権問題が後を絶ちませんが、社会全体の理解や関心が薄いからだと思います。有意義な実習になるよう書籍などを通して多くのことを学んで臨みます。