先週は3か月前の熊本地震を取り上げ、過去の教訓の大切さを考えました。本日は未来の話をしたいと思います。ちょうど4年後の7月24日、2020年東京オリンピックの開会式が行われます。
これまで、メイン会場の新国立競技場の整備計画の見直し、エンブレムの撤回など運営側のトラブルに加え、ドーピングなど選手自身の問題まで表面化してきました。また、自然災害やテロへの対応も迫られています。そのような状況で、運営側でもない、選手でもない私たちに今、何が出来るのでしょうか。
それは多文化を受け入れる準備をすることだと思います。
東京・代々木上原にあるイスラム教の礼拝堂、東京ジャーミィに行った時のことです。一面にじゅうたんが敷かれ、ステンドグラスの窓を通して差し込む光に包まれた美しい空間。そこに午後2時半、イスラム教徒が20人ほど集まって礼拝を始めました。見たことのない光景が目の前に広がりました。先ほどとは一変して、日本ではなかなか味わうことのない異様な空間です。もちろん、彼らにとっては当たり前の慣わしなのですが。
なじみのない文化に触れ合ったとき、それを異様に感じてしまうのは当然のことです。オリンピックによって多くの外国人が日本にやってくるでしょう。政府は2020年の訪日外国人者数を現在の2倍にあたる4000万人にしたいと考えています。このままでは東京ないし日本全体が、そこに住む日本人にとって異様な空間になりかねません。そうしないためにも、多文化を学び、受け入れる準備が必要です。決して排斥するのではなく。
モスクで出会った、インドネシアから来たという男性は言いました。
「イスラム教徒というだけで変な目で見られてしまう。日本人に、もっとイスラムのことを知ってもらいたい」。
オリンピック開幕までの4年。イスラム教に限らず、さまざまな文化を学ぶ時間は十分に残されています。
参考記事
24日付 朝日新聞 13版 39面 『国立競技場 昔 今 未来』
同日付 日本経済新聞 13版 31面 『東京五輪どんなカタチに』
同日付 読売新聞 13版 22面 『東京五輪 あと4年』