過去最多56人が立候補した都知事選 街頭演説を聞きに行きました

昨日、東京都知事選挙が終わり無所属現職の小池百合子氏(71)が3期目の東京都知事に就任しました。有力候補者と報じられた前安芸高田市長の石丸伸二氏(41)や前立憲民主党参院議員の蓮舫氏(56)は及びませんでした。今回の都知事選は過去最多となる56人が立候補しました。筆者は小池氏、石丸氏、蓮舫氏の街頭演説に駆けつけ、公約を聞いてみました。

三軒茶屋駅前で演説をする小池氏(7月3日、筆者撮影)

3日午後6時、小池百合子氏は東急電鉄三軒茶屋駅前でマイクを握りました。演説を聞くには街宣車の前に作られた柵の中のスペースに入る必要があります。手荷物検査と金属探知機を使った検査を済ませ中に入ります。演説が始まる前から批判的な内容のプラカードを持った人が現れたり、演説中は大声のヤジが飛び交ったり物々しい雰囲気でした。

「毎日のように人身事故はあり交通が止まります。私たちはそれらを当たり前のように感じていますが、人が亡くなっているのです。私はホームドアをしっかりと整備してこのような人身事故を抑えていきたい。都営地下鉄は106の駅があるのですが、今年の2月にすべての駅でホームドアの設置が完了しています。その後、地下鉄での事故は起こっておらず都民の命を守っています。また、私は2期8年の間、常に災害が起きた際にどうやって都民の命を守っていくかということを考えていました。災害時にみんなが避難所に駆け込むのではなく被害の度合いにもよりますがそのまま留まっておくという東京とどまるマンションというシステムを提案しています。他にも私は持続可能な都市を目指しており不妊治療、卵子の凍結についても進めていこうと考えています。私自身が子供を産み育てられなかった分だけ、若い女性を応援したいという気持ちが強くあります」

日暮里駅前で演説をする石丸氏(7月3日、筆者撮影)

3日午後4時15分からJR日暮里駅東口で石丸伸二氏が街頭演説を始めました。駅周辺は多くのボランティアが詰めかけており、シンボルカラーの紫色で埋め尽くされていました。石丸氏の演説は15分ほどで他の候補者に比べて短かったです。一方、3日に小池氏や蓮舫氏は1回の演説だけだったのに対し、石丸氏は9回も行っています。

「私は前の前の仕事が三菱UFJ銀行というところで経済を分析するアナリストをしていました。その間ニューヨークに滞在していて北はカナダから南はチリまで全部で主要9カ国を1人で担当し政治と経済を分析するという仕事をしていました。その後、地元広島県の安芸高田市に戻り市長として4年間勤めました。これまでの東京都知事は経済人がいないのです。経済に詳しい人間が舵をとればまだまだ伸びますし、もっと豊かになります。私の打ち出した政策はYouTubeに投稿していますのでぜひ見てみてください。私は都政の見える化が重要だと思います。東京都議会の動画を見たことがなくて安芸高田市議会の動画を見たことがある方、本当は優先順位を間違っていると思います。政治の見える化を掲げる政治家はけっこういますが、私は誰よりもSNSを使ってうまく発信する自信はあります。やはり都民が都議会に興味関心をもってもらわないと政治と行政が緩むのです」

高田馬場駅前で演説をする蓮舫氏(7月4日、筆者撮影)

4日午後6時、蓮舫氏はJR高田馬場駅早稲田口で街頭演説に臨みました。道路を挟み街宣車を360度取り囲むような形で多くの人が集まりました。

「持続可能な社会保障制度は本当に大丈夫なのでしょうか。なぜ人口減少しているのか立ち止ってもう一度考えるときだと思います。30年間言われていたのにも関わらず、今になってようやく少子化対策に政府は力を入れ始めました。しかし国は少子化対策を行うといっても結婚をさせる政策にお金を使います。私は東京都が婚活アプリを運営するという政策でみなさんが結婚するとは思えませんし、このような事業に数億円を使うのは直ちにやめたほうがいいと思います。またプロジェクションマッピングは大変有名になりました。2年間で関連事業含めて予算48億円です。例えば3人以上子供がいて住民税非課税世帯で公営住宅に入れない方々に月2万円家賃補助をしたら1年間の粗い試算ですが48億円です。どちらに使いますか。また、現在東京大学が学費を上げると言っています。大学を出ると2人に1人は奨学金という借金を背負っており平均額310万円です。私は奨学金の返済を東京都が負担して若者の負荷を減らしたいと考えています」

演説が行われ多くの人が集まる高田馬場駅(7月4日、筆者撮影)

街頭での演説には多くの人が足を止め、候補者の話に耳を傾けていました。しかし学生や若い世代の方は少なかった印象です。今回の選挙では奇抜な主張の政見放送やポスタージャックなど様々な問題が指摘されていますが、筆者は実際に街頭演説を聞き、政治について考えるきっかけになりました。筆者は石丸氏の1か所に時間をかけずに回数を増やすという応援演説が気になりました。SNSを通じて石丸氏を知っている若者以外の有権者に思いが伝わるのか疑問に思いました。これからの都政の動きにも注目していこうと思います。

 

参考記事:

8日付、朝日新聞デジタル 「実績が響いた」3選の小池百合子氏が登庁 支援の自公が祝福(https://www.asahi.com/articles/ASS782SQQS78OXIE029M.html?iref=pc_ss_date_article)

8日付、日経新聞電子版 小池都政、3期目始動「公約、速やかに組み込む」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC0828C0Y4A700C2000000/)

8日付、読売新聞オンライン

小池都知事3選 2位・石丸氏に大差 蓮舫氏3位(https://www.yomiuri.co.jp/shimen/20240708-OYT9T50093/)