「なんか、テレビの音うるさくない?」
突然感じた違和感は嘘ではありません。でも、うるさいと思ったテレビはいつもの同じ音量。少し下げてみても、不快感は変わりません。嫌な予感がした私は、翌日病院へ駆け込みました。聴力診査をしたところ、俗にいう難聴で、ストレス性のものでした。私の場合は、普段よりも低音が聞こえにくくなるというものでした。
ストレス性と言われた当初、要因になるものが見当たらなくて少し困惑しました。直近で忙しかったものは就活くらい。とはいえ、そこまで思い詰めていたわけでもありません。人間関係のいざこざや、トラブルがあったわけでもありませんでした。とりあえず、医師に言われた通りに薬を飲むことにしました。
薬を飲むと、驚いたことに睡眠の質が上がったような気がしました。今まで、どことなく寝付けないような日が多々あったのですが、薬を飲んでから眠りで悩まされることはなくなりました。
ストレス性というから、好きなことも少しやってみることに。就活中だからと諦めていたことです。母親に誘われて、好きなアーティストのライブに行ったり、大好きな先輩と話したりしました。就活中になんてことをしてるんだと、罪悪感も多少なりともありましたが。息抜きになったようで、気持ちが少し楽になり、自分の夢みたいなものとも出会うことができました。
そして、2週間後には難聴の症状は姿を消しました。以前と変わったのは、睡眠と好きなことをする時間を作っただけ。経験した今だからこそ分かりますが、聞こえが悪くなった当時は何かを頑張らなくては、と気持ちを追い詰めすぎていたような気がします。恐らく思い詰めるがあまり、不安がつきまとって寝付けなくなり、気づかぬうちに睡眠不足になってしまっていたのでしょう。それに加えて、好きなことを自制していたことで、知らぬ間にストレスが溜まっていたのかもしれません。
大好きな先輩から頂いて、ずっと大事にしている言葉があります。
「人生、意外となんとかなる」
自分を思い詰めてしまう、将来が不安になってしまう。そんな日もあるかもしれません。でもきっと、なんとかなるはずです。たまには楽観的な気持ちで、自分に優しくする日があってもいいのではないでしょうか。
<参考記事>
25日付 日本経済新聞朝刊 「『低音難聴』 見逃しに注意」