今日4月29日、昭和の日。
春の叙勲と褒章の受章者が決定しました。叙勲は、桐花大綬章1人、旭日章984人、瑞宝章3123人の合計4108人でした。このうち女性は435人で全体の10.6%。民間人は1888人で46.0%となりました。褒章は651人と14の団体でした。
叙勲の親授式や伝達式は来月9日から。褒章の受章者は来月10日以降に天皇陛下からお言葉を受ける予定です。このため、年に2回、ニュースで受章者の方々が宮中で天皇陛下から勲章などを受ける様子を目にすることになります。
受章者も章の種類も多岐にわたりますが、どんな人がどんな理由でどんな章を与えられているのでしょうか。
そもそも栄典は、「国家又は公共に対し功労のある方や、社会の各分野における優れた行いのある方などを表彰する」ものです。
引用:日本の勲章・褒章(賞勲局) – 内閣府 (cao.go.jp)
勲章制度は1875年、褒章制度は81年に創設されました。長い歴史を大切にしつつ、2003年と16年に改正を行い、栄典の積極的な授与に向けて見直しが図られてきました。
特に2003年の制度改革では、それまで用いられていた「勲一等」や「勲二等」などの数字による表示をやめ、固有の章の名前が付けられました。
勲章の対象は国または公共に対し功労のあった方で、①70歳以上、または②55歳以上で精神的又は肉体的に著しく労苦の多い業務に奨励した人など、毎回約4000名に贈られます。内閣総理大臣や衆参議院の議長、最高裁長官を務めた方などに贈られる大勲位菊花賞、桐花大綬章をはじめとして17種あります。
褒章は、自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した人、長年にわたり社会に奉仕する活動、例えばボランティア活動などに従事し顕著な実績を上げた人など、毎回約800名に贈られています。紅綬褒章、緑綬褒章、黄綬褒章など色ごとに6種に分けられています。
通常は、自治体、関係団体からの推薦者の中から、各府省の選考により内閣総理大臣に候補者が推薦されます。その後、内閣府賞勲局での審査を経て閣議決定の後、天皇陛下の裁可を経て発令されます。
あまり知られていませんが、この通常推薦とは別に、国民が受章者に相応しいと考える人を賞勲局に推薦する一般推薦という方法があります。こちらは推薦者1名と賛同者2名がそれぞれ推薦書と賛同書を作成し、提出することが必要です。賞勲局での調査や検討により候補者に相応しいと判断された場合は、関係府省に推薦されます。
20歳以上の人であれば基本的にだれでも推薦者、賛同者になれます。非推薦者が叙勲の候補者として相応しいかの結果が出るまでには1年程度かかることもあり、検討状況は公にされていないため、どの程度一般推薦から受章に結びついているかは疑問の余地があります。しかし、会社の同僚やボランティア活動の仲間などを推薦することもできるため、普段は日の当たらない分野で活躍をされている方にもスポットライトが当たりやすいのではないでしょうか。
たくさんの種類に分かれる叙勲・褒章は、若者には縁のない制度という印象を持たれがちです。しかし、受章者のこれまでの社会への貢献に思いを馳せれば、見方も変わるかもしれません。
【参考記事】
2024年4月29日付 読売新聞朝刊〔宮城13版〕24面「春の勲章4108人」関連記事21面、12版9面
2024年4月28日「春の褒章651人・14団体 俳優の原田美枝子さんら」
【参考資料】
「春秋叙勲の候補者としてふさわしい方の推薦(一般推薦)について : 日本の勲章・褒章 – 内閣府」
『「春の褒章」 紫綬褒章に原田美枝子さん 段田安則さん 花柳寿楽さんなど 』 NHK