最近はAI(人工知能)の活躍が話題となっています。今年の3月にはコンピュータソフト「アルファ碁」が韓国のトップ囲碁棋士との歴史的対局に勝利し、その進化は留まるところを知りません。
今度は小説を書かせる研究が進んでいるという記事を目にし、「凄い」と感動しました。と同時に「本当に小説が書けるのか?」という疑問が浮かび上がりましたが、星新一賞に応募した「AI小説」が一次審査を通過したというので、小説を執筆した経験のある私としては度肝を抜かれました。
今回の作品は人間との共同作業によって生み出されたといいます。言語を理解する、絵を描くといった創造性を持たせる研究が進めば、小説家や画家として活躍する日もそう遠くはないかもしれません。ですが、やはり心配になってくるのは人工知能の暴走です。
先日、米マイクロソフトが開発したチャットボット「Tay」が運営開始の翌日に停止された事件がありました。ソーシャルメディア上で対話できる優れものですが、悪意ある人々に教え込まれた差別的な発言を連発したためです。このように、いくら優れたAIでも、人間の使い方次第で悪い方向へ暴走してしまうケースもあり得ます。
世界中で研究が進んでおり、将来的に人間と同等あるいはそれ以上の知能を持つようになるかもしれません。映画「ターミネーター」のように、知能を持ちすぎて暴走しないためにも「人間に絶対服従」や「強制停止」といったプログラムや機能を予めインプットすることです。そうやって管理を徹底することで人間との共存も可能になるのではないでしょうか。
27付 日本経済新聞 ニュースな科学 31面 「AI小説家 文豪は遠く」