新しい義務教育の在り方を

必ず通らなければならない義務教育。より効率よく教育を受けるうえで、小学校を卒業して中学校に入学、という今までのやり方は子供たちにとって負担が大きいのかもしれません。

今年4月、現行の小学校・中学校に加え、義務教育9年間を一貫して行う「義務教育学校」を新たな学校の種類として規定した改正学校教育法が施行されました。この学校の目標を文部科学省は次のように説明しています。

「心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育について、基礎的なものから一貫して施すこと」

この制度によって、義務教育学校は今までの6-3制ではなく、4-3-2制や5-4制など、学年の区切りを自由に変更できます。また、カリキュラムも地域の実情などに合わせて組めます。このように、今までの小・中学校よりも柔軟に授業をすることができるわけです。

実はこの制度、すでに品川区などで小中一貫教育を進めており、そこで効果が実証されたことから導入した実情があります。中学生の不登校の減少、学力調査などでの平均正答率の上昇などが見られたそうです。

一方で、いろいろと問題も挙げられています。一番の問題は、各自治体が学校を作るうえでの情報不足です。国からひな形が示されたわけでもなければ、身近に手本となる先行例もない。これでは仮に新たに設置しても、今までの小・中学校のやり方から大きく逸脱しないものになってしまいます。また、「義務教育学校」専用の教員免許はなく、小学校、中学校の両方の教員免許を持った人材を確保する必要があることも、設置するうえで大きな障害になると思います。

それでも、こうした試みは必要だと私は思います。私は高校が大学の付属校であったこともあり、進学の不安なく過ごすことができました。大学で活きる勉強を進めることができ、また、大学での人間関係も1から作り上げることなくやっていくことができました。高・大一貫と小・中一貫では違うことのほうが多いとは思いますが、進学するうえでの不安を取り除くことができることは大事だと思います。試行錯誤の段階でしょうが、新しい教育の在り方を見出すべきです。

参考記事:

16日付:日本経済新聞 東京14版 22面「小中一貫 改革広める」

文部科学省「学校教育法等の一部を改正する法律案の概要」