アンケートからわかること

ゴールデンウイークに鹿児島県の知人を訪ねました。目的地にいくには熊本駅で乗り換えです。移動中の新幹線の窓からは屋根を覆う多くのブルーシートが目に入りました。この光景がなくなるまでどれくらい時間がかかるのだろうかと思いながら眺めていました。しかし遠くから見ているだけでは被災者の方の不安や苦労はわかりません。今朝の記事に載っていたアンケート結果から現状を知ることができました。

朝日新聞では熊本県内の避難所にいる100人を対象にしたアンケート取材の結果が載っています。生活再建に向けて不安な点や行政に求める施策に関して住宅関連が多かったようです。住まいに関する不安を被災した人々は抱えていることがわかります。

一方、この住民の声に対して行政は何を課題としてあげているのでしょうか。読売新聞に熊本、大分両県内の市町村の首長にとったアンケート調査の結果が載っています。復旧に当たって喫緊の課題として「住民の生活確保」「住宅の確保」をあげる首長が目立ったようです。

熊本県を中心とした地震の発生から14日で一ヶ月。熊本市の復旧、復興の動きが本格化したのは5月に入ってからです。行政の現場では、資金支援や法律相談を1カ所で扱う「総合相談窓口」を市内6カ所に開設する準備に追われています。しかし、窓口担当者向けのマニュアルもなく、仕事は山積み。職員の悲鳴が聞こえてきそうです。住宅ローンの返済中に被災すると、新しい住まいとの「二重ローン」に陥る可能性があります。お金が関わる問題は一番不安になるものです。いち早くマニュアルを作成し、少しでも不安を解消できるよう行政に動いてほしいものです。今回の地震で自宅を失い、ローンだけが残った人はどれだけいたのか。こうした状況把握も必要となるでしょう。

災害からの復興の道筋で、地域が抱える問題や矛盾点は、決して国や自治体から発表されるものだけありません。地道な取材や調査によって被災地の暮らしが浮かびあがります。現実の一つひとつを解き明かし、今ある制度や法律が復興を妨げていないかと社会に問いかけていくのもメディアの役割だと思いました。

 

参考記事:

15日付 朝日新聞 東京14版 1面「避難者の不安 「住宅」7割」

15日付 読売新聞 東京14版 1面「「避難所解消メド立たず」住宅確保など課題」、13版 3面「自治体「復興」手探り」