消費増税の先送りが決まりました。2017年4月に予定する消費税10%への引き上げは、すでに1度延期されておりこれで2度目の先延ばしになります。なぜ安倍首相は2度目の延期に踏み切ったのか。その理由として見られているのが、経済の問題です。足元の国内経済は15年10~12月期のGDP改定値が物価変動を除く実質0.3%減。消費者物価も下落している中、4月の熊本地震はさらに追い打ちとなりました。
日頃の暮らしを思い返して、一消費者として考えてみても「いま消費税を上げられても…」と感じる人が多いのではないでしょうか。では、いつならば私たちは消費税を上げられても納得するのでしょうか。それはやはり、経済に活気が出ていること、消費者目線で「今ならお金を使っても良い」と思える時ではないでしょうか。
政府与党内では、増税を2年後の2019年4月であれば、「東京五輪前で景況の改善が期待できる」と考えているようです。確かに、オリンピックムードでそのころは活気があるかもしれません。しかし、外部要因だけに任せきりでいいはずはありません。オリンピック直前でそのときは増税の影響も少ないかもしれませんが、オリンピックが終わった後はどうなるのでしょう。今月末には、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)や、ニッポン一億総活躍プランなどの閣議決定も控えています。政府・与党には、どのような根拠でいつまで延期するのか、なにをもって増税に踏み切るのか、どのようにして景気を上向かせていくのか、今後の見通しを含めてしっかり説明してほしいものです。
参考記事:14日付日本経済新聞朝刊(東京13版)1面「首相、消費増税先送り」