オバマ大統領、広島で何をしますか。

 2009年4月5日、就任直後のオバマ米大統領はプラハで「核兵器を使ったことのある唯一の核保有国として、行動する道義的責任がある」と語り、その年のノーベル平和賞を受賞しました。筆者は当時、中学2年生で核軍縮に向けての理念を口にするだけで素晴らしい賞が取れるのかと思ってしまいました。それから7年たった今、猛烈に反省しています。

オバマ大統領はこれまで、ロシアと交わした核軍縮条約(新START)への署名や初の核安全サミットの開催、イラクに核開発の制限の合意を取りつけるなど「核なき世界」の実現に向けて取り組んできました。

そんな中、核をめぐる世界の状況は深刻さを増しています。ロシアとの関係悪化で新STARTは宙に浮いてしまいました。また、北朝鮮は核保有国としての認知を国際社会に迫り、中国、インドなどいくつかの国は核兵器の数を増やしています。オバマ大統領はプラハ演説で「核なき世界の現実は簡単ではなく、おそらく私が生きている間には実現が難しいかもしれない。」とも言っていました。そうだと分かっていても諦めていません。

大統領の任期切れを前に切り札を出しました。G7首脳会議が閉幕する5月27日に広島へ訪問することを発表しました。現職の大統領が広島を訪れるのは初めてです。この訪問は「核なき世界」の理念を改めて世界に発信する狙いがあります。その決断はきわめて重い意味を持ちます。

しかし、私はそれ以上に被爆者の方の話を直接聞いてほしい。この機会を逃せば、オバマ氏が生きている間に核なき世界の実現が難しいのと同じように、被爆者の生の声を聞くことも難しくなるでしょう。

広島記念公園、原爆資料館から過去の姿を知り、被爆者から今しか聞けない声を聞く。それこそが本当の遺産になるはずです。

参考記事

11日付:朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞「オバマ大統領広島訪問」関連面

12日付:朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞「オバマ大統領広島訪問」関連面