北九州市JR小倉駅近くの飲食店街「鳥町食道街」で3日、火災が発生しました。午後3時ごろ飲食店から出火、周囲の店舗に延焼。鎮火したのは、発生から約42時間後のことでした。鎮火した3日から6日夕方にかけて、福岡県警と市消防局が約60人態勢で実況見分し、出火原因の特定などを進めています。
現場から400メートルほどの旦過(たんが)市場では、2022年に2度にわたる大規模な火災が起きたばかりでした。このときの被害は、80店舗以上です。なぜ、小倉駅周辺で大規模な火災が続いてしまったのでしょうか。
市消防局によると、食道街や周辺の計35店舗が焼けましたが、幸いけが人はいませんでした。出火元は食道街の中心部付近とみられます。木造で火災が広まりやすい上に狭い通路にトタン屋根が落ちてきたため消火活動が難航しました。
5市合併でできた北九州市では各地に以前からの市街地が残り、終戦後の闇市などを起源とする市場や商店街は約70か所に上ります。火災が発生した鳥町食道街と旦過市場も、これに含まれます。多くが木造建築の密集地域であり、現行の耐火構造を満たさない建物も少なくないようです。
何よりも火災を起こさないことが必要ですが、延焼しない都市づくりも求められています。具体的措置として、防火指導と建築基準法を満たす建築物への建て替えが考えられます。しかし、多額の資金が必要なうえ、独立した店舗の意見を調整するのも容易ではありません。
火災発生から3日が経過した6日、現場を訪れました。規制線が張られ、焦げ臭いにおいが充満していました。実況見分は終わっていましたが、夜8時頃に消防らしき人が中に入っていく様子を目にしました。
今回の火災発生現場と旦過市場には、何度も訪れたことがあります。先月19日、旦過市場一帯を襲った大規模火災で焼失した老舗映画館「小倉昭和館」の営業が再開されたばかりで、小倉は火災を乗り越えてにぎわいを取り戻してきた、と思った矢先の大火です。それだけに、今回の火災のショックは大きかったです。
昔ながらの商店街や市場は、観光資源であるだけでなく、地元住民の生活の場でもあります。課題は山積していますが、街の安全と文化の継承のために、迅速な対応が求められています。
参考記事
・5日付 朝日新聞デジタル 「北九州・小倉の飲食店街火災、ようやく鎮火 発生から約42時間後 [福岡県]」
・3日付 朝日新聞デジタル 「北九州市の飲食店街で火災、延焼中 JR小倉駅近く、けが人情報なし [福岡県]」
・2023年12月9日付 読売新聞オンライン 「小倉昭和館プレオープン、館主『全てを失っても立ち上がれたのは皆さんのおかげ』」
・6日付 西日本新聞me 「福岡・久留米、飯塚でも大火…危ない木造密集商店街 繰り返される背景は」