あなたもいつのまにか消費の罠に 「ダークパターン」とは

外出自粛を余儀なくされたコロナ禍を経て、インターネット通販を利用する人が多くなりました。最近は感染も収まりつつあり、店舗に足を運ぶ人が多くなったというニュースを目にしましたが、まだまだ通販の利用が衰えるようには思えません。

先日、筆者はインターネット通販のサイトで買い物をしました。ちょうどセールの時期ということもあり、普段よりも値段が安く、お得に購入できたはずでした。しかし、次の日にその商品を調べ見てみると、数百円ではありましたが、筆者が買った値段よりも安く売られていました。たった1日で値段が下がったことに驚きを受けた筆者。友人に聞いてみたり、インターネットで調べてみたりすると、最近はこういった消費者を欺く販売方法をめぐるトラブルが増えていることがわかってきました。

こういった商法を「ダークパターン」と呼ぶといいます。次のような例があります。

  • 「残りわずか」や「あと10分」といった、売り切れを装い催促し購入させる。
  • 「解約方法」をわかりにくくさせ、定期購入を続けさせる。
  • 購入を促すような、サイトの仕様にする。

消費者庁は、ダークパターンの実態調査をしています。6月にまとめた調査結果によると、経験したことがある人が89.2%に上ったといいます。また、令和5年度の消費者白書によると、「定期購入」に関する消費生活相談件数は、22年に7万5478件と過去最多になったといいます。中でも、30代以上から相談件数が顕著に増え、50代以上でさらに大きく伸びています。とくに目立つのが、定期購入時における「いつでも解約可能」といったうたい文句に乗っかってしまうトラブルです。

海外はどうでしょうか。欧州連合(EU)は22年に発効したデジタルサービス法で消費者を欺いたり、操ったりするサイトの設計自体を禁止しています。米国は連邦取引委員会法で禁じるようになっています。国内でも、22年6月施行の改正特定商取引法で定期購入への対策は強化されました。ただ、ダークパターンの発生を0に近づけることは難しいのが現状です。先に挙げたような色々なパターンがあり、個別に対応するのが困難だからです。

消費者庁は、トラブルに遭った際には「188」に電話し、消費生活相談窓口で相談するように促してはいますが、浸透するには時間がかかりそうです、海外の例に倣い、国内でも法案の整備に向けて迅速に対応していくことが求められています。

新年を迎えたら、心機一転新しいものを買おうと考えるひとも多いかと思います。「安い!」とインターネットで商品を購入したら、それがダークパターンで新年から暗い気持ちになる。そんなことがないように、しっかりと詳細を確認してから注文してください。

 

参考記事

2023年9月17日付 日経新聞 「『あと10分で』焦らせ契約 ダークパターン、9割が経験」

2023年11月27日付 朝日新聞デジタル「消費者惑わすダークパターン 4割強が『引っかかったことある』」

2023年6月8日付 朝日新聞デジタル「惑わせ買わせるダークパターン 学生ら124社の通販サイト調査、75%で発見」

2023年7月30日付 読売新聞オンライン 「アプリの9割に『ダークパターン』、消費者を欺く画面デザイン...国内の規制は遅れる」

2022年7月26日付 読売新聞オンライン 「カウントダウンのわな...買い物サイトのダークパターン」

 

参考資料

消費者庁 令和5年版「消費者白書」

消費者庁 「インターネット消費者トラブル防止について」