留学してから、イスラム教徒の友人らとイスラエル・パレスチナ問題について話すことがしばしばあります。その中で感じたのは、そのイデオロギーに関わらず、戦争中の行為の正当性は判断されなければならないということです。
主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が22日、オンラインで開催されました。議長国・インドのモディ首相は、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突について、イスラエル寄りの姿勢を見せたものの、衝突によってパレスチナ自治区ガザ地区で民間人の死者が増加していることを念頭に、「民間人の犠牲はどこであろうとされ非難されるべきものだ」と述べました。民間人の犠牲は許されないという主張は、政治的立場によらず、受け入れられるものでしょう。
広島と長崎への原爆投下は「正しかった」「やむを得なかった」という米国での世論に対して異議を申し立てた政治哲学者がいます。ジョン・ロールズです。彼の「重なり合う合意」という考え方は、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突、ロシアのウクライナ侵攻にも通ずるものでしょう。戦下でも満たされるべき条件は、どんな政治的立場にあったとしても守られなければなりません。
「ロールズが提示した『重なり合う合意』という考え方が参考になると思います。意見が対立して完全な合意は成立しないけれど、重なり合いの部分でなら合意できる状態のことです」
「広島市の秋葉忠利市長(当時)は99年の国際平和会議での講演で、核兵器反対のメッセージを世界に広げる方策として『たとえ戦争でも子どもは殺すな』というスローガンを用いようと提案しました。核保有国の人々も賛同せざるをえない主張を掲げることで、重なり合いを確認しようとする試みだったのでしょう。少なくとも、市民の大量虐殺を伴うような戦争の進行には歯止めをかけられます」 =朝日新聞デジタルより引用
戦争中の行為の正当性を問いただし続けることで、戦争における不正を防ぐことができるのではないのでしょうか。
参考記事:
23日 ガザ、ウクライナ情勢でも各国が意見表明 G20オンライン首脳会議 [イスラエル・パレスチナ問題] [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)