岡山市で西田真愛(まお)さんが虐待を受けて死亡した事件で、逮捕監禁致死や強要などの罪に問われた船橋誠二被告の初公判が11日、岡山地裁で行われました。真愛さんへの虐待を疑う通告がたびたび市に寄せられていたにもかかわらず、なぜ虐待を阻止することができなかったのでしょうか。
事件発覚後の有識者会議は、市の虐待リスクの評価の甘さや関係機関との連携不足を指摘しています。岡山市は、再発防止に向けて、市の児童相談所、地域の子ども相談センター、警察などとの連携強化をはかっています。地域社会全体で、子どもや家庭を見守るような体制を築いていくことが重要だと考えます。
政府は、児童虐待防止に向けた対策を強化するため、2024年度から認定資格「こども家庭ソーシャルワーカー」を創設すると同時に、児童相談所の職員らの資格取得を支援します。公的機関の専門職が積極的に家庭に関わることで、児童虐待や家庭内暴力を防ぐことが可能になるはずです。
こども家庭ソーシャルワーカーは、子供や家庭に関する専門的な知見を生かし、児相や保育所などで、児童虐待をめぐる包括的な相談支援を担う役割が期待されている。資格を得るには子供や福祉分野の実務経験が必須で、既に取得している保育士や社会福祉士といった資格などに応じて、101~266時間の研修を受講する必要がある。 =読売新聞オンラインより引用
公的機関の専門職が、産前には妊婦との面談を、産後には母体のケアや育児の相談を行ったり、保育園や幼稚園で定期的に子どもたちと過ごしたりするなど、多角的な支援を可能にします。家庭を見守るセーフティーネットを幾重にも張ることで、子どもを産むことへのハードルも低くすることができるのではないのでしょうか。
参考文献:
12日付 児童虐待防止へ新資格「こども家庭ソーシャルワーカー」…児相職員の対応力を強化 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
11日付 「しつけ」と称し虐待が日常化 映像で特定 岡山の女児虐待死初公判:朝日新聞デジタル (asahi.com)
11日付 子どもは生まれたときから人格のある主体「最初の1000日」に手厚いフランスの福祉:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)