昨日の東京・新橋は、昼過ぎからリクルートスーツを着た内定式終わりの学生たちで賑わっていた。スーツケースを引いている学生も多い。今年は対面で内定式が行われていることでわざわざ遠方から来ている学生がいることがうかがわれた。
店の中も若いスーツを着た人ばかりで、一目見ただけではどこが自分たちのテーブルなのか見分けできないほど。おそらく年に一度、内定式の日以外では見ることができない異様な光景だろうが、そこら中から聞こえる明るい乾杯の掛け声は、コロナがやっとひと段落したことを告げているような気がした。
2日の日本経済新聞の記事によると、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に移行したことで、内定式の対面開催が本格的に再開。就活情報サービスの学情は9割超の企業が対面を選んだと見ている。
筆者が内定を得た企業も対面での開催だった。内定通知書を受け取る際に1人30秒程度の自己紹介があったが、憧れていた職業に就ける喜びや同期の皆さんと絆を深めたいという発言が多い。それを聞いていよいよみんなと一緒に働く時が迫ってきていると実感した。
ただ、もう1つ実感したことがある。それはこれまでの内定者懇親会で会っていた何人かの姿が見えないことだ。
日経によると、早期離職防止のために第一生命グループでは内定式後にキャリアデザイン面談を行ったとある。また、3日の読売新聞の記事では、東芝などは一部の職種でまだ採用活動を継続しているとあり、就活も長期化していることがわかる。筆者の内定先でもエンジニア職だけは採用活動を延ばしてしていた。
同期の内定者で人事部門に福利厚生のことを質問したら、内定式当日に「今日は来ないんじゃないか」と心配されたという話も聞いた。学生優位の売り手市場が続く中で、どの会社も学生のつなぎ留めに気が気ではない毎日を送ってきていることだろう。
内定先の社長からの訓示で、やり残しがないように学生生活を過ごしてほしいが、「何のために働くのか」「どうしてここで働くのか」の2つについてはよく考えてほしいと言われた。よく考えた結果、やはりここではないと思いなおす学生もいるかもしれない。ただ、新社会人をどこで始めるかということの大きさを考えれば、悩むのは自然だろう。一緒に働くはずだった仲間が違うところに行ってしまうのは寂しいが、全ての24卒生が納得できる進路を歩むことを願っている。
参考記事:
2日付 日経電子版 「内定式、職場早期理解でつなぎ留め 第一生命は配属面談」
内定式、職場早期理解でつなぎ留め 第一生命は配属面談 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
2日付 日経電子版 「「リアル内定式」9割超、前年比1.2倍 働く一体感生む」
「リアル内定式」9割超、前年比1.2倍 働く一体感生む – 日本経済新聞 (nikkei.com)
3日付 読売新聞朝刊 (東京) 7面 (経済) 「内定式「リアル開催」8割」