「信じっらんないだろこんなのぉ!」
近藤誠一選手が「七萬」を一発でツモって裏ドラが乗った瞬間。あの魂の叫びにも似た実況に心が震えなかった視聴者はおそらく1人としていなかっただろう。
将棋とともに筆者が愛してやまないものがもう1つだけある。それが「麻雀」だ。9月18日から、今年で6年目になる麻雀最高峰のMリーグが開幕した。
麻雀と聞くと、おじさん達がたばこや酒を片手にやる賭け事というイメージが根強いと思う。そんな人にこそ1度Mリーグを見てほしい。
麻雀では他にない団体戦の形をとり、選手たちは煌びやかなユニフォームを身に纏う。そして闘牌する姿は真剣そのもの。同じチームの選手があがると控え室はみんなで大喜び。逆にめくり合いに負けるとみんなでがっくし。Mリーグの使命に掲げた「頭脳スポーツ」の言葉の通り、声援を送る人たちも選手たちが頑張る姿もスポーツそのものだ。
また、チームに必ず1人は女性が入る決まりになっており、現在は全36人のうち14人が女性だ。さらに過去5シーズンのうち3シーズンでMVPが女性選手と活躍も目覚ましい。
麻雀をやっているとよく言われるのが、「麻雀って運ゲーでしょ?」。確かに運の要素も多分にある。1局単位で見れば、筆者がプロと同卓しても運さえ良ければ勝ててしまう。それが麻雀の良いところでもある。ただ、本気で取り組む選手の姿を見ると、麻雀は運ゲーだとはとても言えない。
毎巡回ってくるどの牌を残し、どれを捨てるかという選択の時に、最も適切だと考えられる正解を選び続ける。そこには一瞬にして情報をつかみ取り分析する力、緻密な読み、勝負どころを誤らない嗅覚など、様々な力が要求される。
その一巡、その一牌が逆になっていたら。そんなシーンを何度も見てきた。一見すると運だけに見える先には、積み上げてきた必然が生むドラマがある。
9月23日の記事で、昨年優勝チームの多井隆晴さんが、「麻雀の魅力とは」との問いかけに「人生に似ているところです。」と答えていた。
確かに人生そっくりだ。配牌や運に左右されることもある。どの選択も裏目に出てことごとく上手くいかないこともある。全員に見せ場は来るが、輝けるのはあがれた1人だけ。そんな中でも出来ることは全てやり、あがき切る。その先にはきっと少し良い未来が待っていると思わせてくれる。
Mリーグも毎年モデルチェンジし、テロップ解説や、アガリ牌の表示など麻雀がわからない人にも見やすい工夫が重ねられている。Mリーグは毎週月火木金19時から、ABEMAで無料放送中。Mリーグは今日もそこのあなたを待っている。
参考記事:
18日付 朝日新聞デジタル 「麻雀のMリーグ、名実況を生んだ近藤の5秒 日吉辰哉が準備した物語」
麻雀のMリーグ、名実況を生んだ近藤の5秒 日吉辰哉が準備した物語:朝日新聞デジタル (asahi.com)
19日付 朝日新聞デジタル 「麻雀、変えるイメージ 広げるファン層 「ゼロギャンブル宣言」Mリーグ6年目」
麻雀、変えるイメージ 広げるファン層 「ゼロギャンブル宣言」Mリーグ6年目:朝日新聞デジタル (asahi.com)
19日付 朝日新聞デジタル 「京大卒からMリーグ実況の松嶋桃さん 人生別れ道で麻雀的な発想」
京大卒からMリーグ実況の松嶋桃さん 人生分かれ道での麻雀的な発想:朝日新聞デジタル (asahi.com)
23日付 朝日新聞デジタル 「(フロントランナー)多井隆晴さん 「麻雀は人生に似て、思い通りにならない」」
(フロントランナー)多井隆晴さん 「麻雀は人生に似て、思い通りにならない」:朝日新聞デジタル (asahi.com)
参考資料:
M.LAEGUE (Mリーグ) 公式サイト M.LEAGUE(Mリーグ)公式サイト (m-league.jp)
M.LAEGUE [プロ麻雀リーグ] 【伝説の試合】ドラマティック倍満ツモ【Mリーグ2020】