昭和の雰囲気を体感できる博物館へ行ってみた

1926年12月から89年1月までの62年間余という最も長く続いた元号である昭和。この時代に残された場所や商品が「昭和レトロブーム」と称されZ世代(1997年から2012年生まれ)を中心に話題となっています。スマートフォンなどのデジタル機器やデジタル環境が普及したことによる、アナログ的なものや光景に対する目新しさがブームの背景と考えられています。

この夏、昭和時代の雰囲気が好きな筆者は、東京駅から電車とバスを乗り継いで約2時間30分、実際に体験できるとある場所へと足を運びました。名湯として有名な伊香保温泉から少し離れた場所にある「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」というテーマパークです。94年に開館され今年で29年目を迎える私設ミュージアム。

忠実に再現された昭和の駄菓子屋(筆者撮影)

パーク内には、昭和にタイムスリップしたかのように当時の雰囲気を体感できる駄菓子屋や街並み、昭和の時代に乗られていたスポーツカー、ファミリーカーや頭文字D(イニシャル・ディー)の「藤原とうふ店」を展示した自動車博物館などさまざま内容の展示がされています。この博物館の館長である横田正弘さんは、「25歳くらいから古いものが好きで、いつか展示したいと思っていた」と17年の産経新聞の取材で開館のわけを語っています。この博物館の魅力はなんといっても当時のものをそのままの状態で見ることができる点だと筆者は思います。複製されたものでも、往時の雰囲気を十分感じることはできるでしょうが、使い古された感じから本物ならではの雰囲気が醸し出されています。

  懐かしのジュークボックス(筆者撮影)

また、私設ミュージアムとしての年間入館者数が1位となった経歴をもち、多くの方々に愛されているテーマパークでもあるこの博物館。筆者が訪れた日は、あいにくの曇り空で訪れる人も少ないのではないかと思いました。ですが、そんなことはなく自動車好きな大人の方から小さなこども連れの家族まで全世代が訪れており、人気ぶりがうかがえました。20代の若者も多く、昭和レトロブームの人気ぶりも再確認できました。

国内でのレトロブームの火はまだ燃え尽きるようには思えません。21日の日経新聞では、レトロな雰囲気を持つ貯金箱が「眺める」作品として好評を博していると紹介されていました。そうした貯金箱は、インターネットオークション上の取引価格が、10年間で2倍になっているといいます。先日紹介したガチャガチャもある意味ではレトロブームの火付け役となっているのかもしれません。国内には、「西武園ゆうえんち」や「渋谷のんべい横丁」などなど、レトロブームを体感できる場所は多くあります。これからますます人気となっていくものではないかと思います。

最後になりましたが、今回写真の掲載を許可してくれた伊香保おもちゃと人形自動車博物館の皆さま、ありがとうございました。普段は感じることができない、昭和当時の雰囲気という非日常を味わえ、記憶に残る経験となりました。読者の皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

参考記事

21日付 日経新聞朝刊(11版)24面(マーケット商品)「貯金箱『眺める』作品に」

2日付 読売新聞オンライン「ブーム続く『平成レトロ』、年号変わってまだ4年なのになぜ…平成が持つパワーは『ウチら文化』」

参考資料

伊香保おもちゃと人形自動車博物館

産経新聞「伊香保おもちゃと人形博物館オーナー横田正弘さん」